今回は、調剤報酬改定 2020から変更される地域支援体制加算についてわかりやすく解説していきたいと思います。
点数は?
38点
今回の改定で3点加算(35点→38点)されることになりました。
1回あたり380円ほどの利益ですが、基本料に上乗せできるため、算定できれば大幅な利益増につながります。
算定要件は?【基本料1の場合】
下記5つの要件のうち4つ以上を満たす必要があります。(変更)
ただ、①〜③の要件は必須となります。
① 麻薬小売業の免許を取得すること(既存)
どの薬局でも申請すれば取得できるため、あってないような要件です。
② 在宅訪問管理指導の回数が年間で12回以上(変更)
以前は年間1回以上だった実績が12回以上に変更となりました。
しかし、在宅患者と契約すれば少なくとも月に1回は訪問するため、年間12回以上という要件はそれほど高いハードルではありません。
また、今回の改定から在宅協力薬局(サポート薬局)として連携した場合や同等の業務を行った場合も含まれることになります。※グループ薬局に実施した場合は除く
③ かかりつけ薬剤師指導料の届出をだすこと(既存)
認定研修を修了した薬剤師が届出するだけなので、あってないような要件です。何よりハードルを低くするのが、かかりつけ指導料の実績が求められるわけではなく、届出を出すだけで良いのです。
④ 服薬情報提供実績が年間12回以上(新設)
今回の改定からの新設項目となります。
5つの項目の中では比較的ハードルが高い要件ですが、年間12回、平均月に1回は服薬指導をしていて「医師に伝えたいこと」はでてくるのではないでしょうか?
⑤ 認定研修を修了した薬剤師が多職種連携会議に年間1回以上出席(新設)
こちらも今回の改定からの新設項目となりますが、今や多くの地域で多職種連携会議が開催されており、どの薬局でも参加することができます。新設項目ですが、とても簡単に満たせる項目と言えるでしょう。
算定難易度は?【基本料1の場合】
以前と比較すれば、算定の難易度は少し高くなったものの、ほとんどの薬局が影響せず算定難易度は非常に低いと言えるでしょう。
唯一、項目④を満たすのは比較的難しいですが、項目⑤が簡単に満たせる項目であるため、①〜③、⑤と満たし地域体制加算を申請する薬局が多いでしょう。
※①〜③は必須。④と⑤はどちらか満たせば良いため。
算定要件は?【基本料1以外の場合】
下記9つの要件のうち8つ以上を満たす必要があります。(変更)
さらに!①〜⑧の要件は、常勤薬剤師1人あたりに必要な実績です。
つまり、常勤薬剤師が3人いた場合は、×3倍の実績が必要となります!
※要件⑨のみ1薬局あたりの実績。
また、地域支援体制加算に必要な常勤薬剤師数は、通常の常勤薬剤師の定義や換算方法とは異なるため注意が必要です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
① 夜間・休日対応の実績400回(既存)
前回から変更なしです。
夜間・休日対応の実績は努力して増やせるものではないため、薬局によっては非常に厳しい要件となるでしょう。
② 調剤料の麻薬加算実績10回以上(変更)
前回までは麻薬指導管理加算の実績が10回以上でしたが、今回の改定で調剤料の麻薬加算実績が10回以上に変更となりました。
要は麻薬を10回以上調剤する必要があるということです。
個別指導時に厳しくチェックされるということもあり、麻薬指導管理加算を毎回算定することは避けているという薬局も多いでしょう。
調剤料の麻薬加算は、麻薬を調剤すれば必ず算定できるため、若干要件が緩和された形となります。
しかし、麻薬が処方されるかどうかは、患者さんと医師次第です。
こちらも非常に厳しい要件と言えるでしょう。
③ 重複投薬・相互作用等防止加算の実績 40回以上(既存)
前回から変更なしです。
常勤薬剤師1人につき40回の算定は、簡単な要件ではありません。
「医師には診察の時に言ったのに!」なんていう残薬調整は算定しない薬局も多かったと思われますが、今後はしっかり算定して、実績数を重ねていく必要があると思われます。
④ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上(既存)
前回から変更なしです。
9つの要件の中では、比較的ハードルが低い要件となります。薬剤師1人につき3〜4人の患者さんと、かかりつけ契約をおこなえば、年40回以上の実績は達成できるでしょう。
⑤ 外来服薬支援料の実績 12回以上(既存)
前回から変更なしです。
常勤薬剤師1人につき12回以上は非常に厳しい要件です。ブラウンバッグの有効活用やケアマネなど他職種からの情報提供が重要になってくると思われます。
外来服薬支援料やブラウンバッグの使い方について確認したい方はこちら!
⑥ 服用薬剤調整支援料の実績1回以上(既存)
前回から変更なしです。
常勤薬剤師1人につき1回以上とはいえ、決して低いハードルではありません。
服用薬剤調整支援料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⑦ 在宅訪問管理指導の実績12回以上(変更)※施設在宅は除く
実績回数に変更はありません。
変更点として、在宅協力薬局(サポート薬局)として連携した場合や同等の業務を行った場合も含まれることになります。※グループ薬局に実施した場合は除く
しかし、そもそもサポート薬局や在宅同等の業務を行うというケースが非常に少ないため、こちらもあってないような要件変更となります。
常勤薬剤師1人につき12回以上の在宅実績は、そこまで厳しい要件ではないですが、前回と変わらず、施設在宅の実績が含まれないのはつらいところです。
⑧ 服薬情報等提供料の実績 60回以上(変更)
実績回数に変更はありません。
変更点として、今回の改定から服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合も含まれることになります。
一見何を言っているかわからないため、見逃してしまいがちですが、意外と重要な文言となります。
服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので相当する業務とは?
・吸入薬指導加算
・服用薬剤調整支援料2
・特定薬剤管理指導加算2
・かかりつけ薬剤師指導料
・調剤後薬剤管理指導加算
以上の加算を算定している時は、服薬情報等提供料を併算定できません。
しかし医療機関へ情報提供しているという事実はあるため、地域支援体制加算を申請するための必要件数には含まれるということです。
上記加算の中でも吸入薬指導加算は、吸入薬を多く扱っている薬局にとっては算定しやすい加算となるため、今回の変更は朗報と言えるでしょう。
その後、吸入薬指導加算は、相当する業務から削除すると、厚生労働省から通達がありました。(正直、非常に残念な通達です)
常勤薬剤師1人につき60回以上の情報提供はかなり厳しい要件となります。
服薬情報等提供料や吸入薬指導加算について詳しく確認したい方はこちら!
⑨ 認定研修を修了した薬剤師が多職種連携会議に5回以上出席(新設)
この項目だけは1薬局あたり連携会議に5回以上出席すれば良いため、9つの要件の中では比較的ハードルが低い項目と言えるでしょう。
算定難易度は?【基本料1以外の場合】
要件を1つ満たさなくてもよくなったため、以前と比較すれば、少しだけ緩和されたものの、相変わらず厳しい算定条件です。
算定の難易度は非常に高いと言えるでしょう。
最後に
相変わらず、調剤基本料1とそれ以外の算定要件の差があり過ぎと感じます。
まさに天国と地獄!
とはいえ薬剤師の職能をさらに発揮するためには、今後少しずつでも取り組んでいく必要があるのは事実です。
頑張っていきましょう!
ではまた。