今回のテーマは、服用薬剤調整支援料1について。
算定要件が非常に複雑なこともあり、算定したことがある薬局は非常に少ないと思われるこの加算。
今回は、服用薬剤調整支援料1の算定要件や注意事項、さらには算定のコツまでわかりやすく解説していきます。
点数は?
125点 1回あたり1250円の利益となります。
算定要件は?
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く)が処方されている患者に対して、薬剤師が文書を用いて医師に提案した結果、調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回算定できます。※以下の告示を要約しています。
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
特に規定するものとは何か?
内服薬の中で以下の2つが該当します。この2つを処方削除しても算定することができないため、注意が必要です。
① 頓服薬
② 服用を開始して4週間以内の薬
調剤している内服薬の種類数に屯服薬は含めない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。
算定するための注意事項は?
服用薬剤調整支援料を算定するためには、前述した特に規定するものが含まれないこと以外にも多くの注意事項があるので紹介していきます。
文書を用いて医師へ提案する必要がある
電話連絡だけで済ませたいところですが、必ず文書を用いて処方削除の提案をする必要があると保険調剤Q&Aでも明記されています。
Q147 服用薬剤調整支援料については、処方医に減薬の提案を行うことになっていますが、その手段は口頭でも構わないのでしょうか。それとも文書でなければならないのでしょうか。
A 文書を用いて提案することが必要です。
引用元:平成30年版 保険調剤Q&A 調剤報酬点数のポイント じほう
文書の様式は決められてる?
文書の様式に関して指定はないため、使いやすい形に自作して問題ありません。
また、厚生労働省のHPに添付されている患者の服薬状況等に係る情報提供書も使いやすいと思われるので、参考までに紹介しておきます。
2種類以上の薬が処方削除された後、その状態が4週間以上継続された時に初めて算定できる
勘違いしてしまいがちなのが、薬が2種類以上削除された時点で算定できると思ってしまうことです。
処方削除後、4週間以上継続された後に初めて算定できます。
服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
レセプト摘要欄に必要事項を記載する
服用薬剤調整支援料を算定する際は、以下2点をレセプト摘要欄に記載する必要があります。
① 医療機関名
② 調整前後の薬の種類数
薬歴に必要事項を記載・添付する
以下2点を薬歴に記載・添付する必要があります。
① 減薬を検討した理由を記載
患者の意向や薬学的理由など、減薬の提案に至った理由を具体的に記載する必要があります。
② 処方削除にあたり、病院から情報提供があった場合は、提供内容を薬歴に添付
薬局側が服用薬剤調整支援料を算定する際は、病院側も薬剤総合評価調整管理料という加算の算定条件を満たすことになるため、多くの場合、病院側から情報提供があることが想定されます。
保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに検討した薬学的内容を薬剤服用歴の記録に記載する。また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する。
処方削除された2種類以上の薬のうち、少なくとも1種類は薬剤師が提案した薬でなくてはならない
いくら処方削除されても、薬剤師が削除提案した薬が含まれていなければ算定対象となりません。処方削除された薬のうち、削除提案した薬が1つ以上含まれている必要があります。
服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
配合剤や外用薬に変更することで内服薬の数を減らしても算定することはできない
高血圧や糖尿病の薬などには多くの配合剤が存在します。配合剤に変更することで服用数を減らすというのは、薬剤師がよく考えることですが、服用薬剤調整支援料の算定条件には含まれません。外用薬についても同じです。
調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。
こんな時も算定できます
注意事項とは逆にこんな時でも算定できるという事例を2つ紹介します。
複数病院の処方薬を合わせれば6種類以上になる時
1つの病院から6種類以上の内服薬が処方されていなくても問題ありません。
保険調剤Q&Aには、複数病院からの処方合わせて6種類以上処方されていれば算定対象になると明記されています。
Q146 服用薬剤調整支援料の対象は、服用開始から4週間以上経過した6種類以上の内服薬を使用している患者とされていますが,対象となる内服薬については,すべて1カ所の保険医療機関で処方されていなければならないでしょうか。それとも,複数の保険医療機関から処方されていて,それらを合わせて要件を満たしていれば構いませんか。
A 1カ所の保険医療機関で処方されている場合だけでなく,複数の保険医療機関から処方されている場合についても,それらを合わせたうえで要件を満たしているか判断することで差し支えありません。
引用元:平成30年版 保険調剤Q&A 調剤報酬点数のポイント じほう
2種類以上の減薬は1つずつでもよい
1種類ずつ薬が処方削除された場合でも算定可能であると厚生労働省が発行している疑義解釈資料に明記されています。しかし、算定できるタイミングはあくまでも2種類以上の薬が削除され、その後4週間以上継続した後になるので注意が必要です。
問8 服用薬剤調整支援料について、内服薬の種類数は2種類以上同時に減少する必要があるか。同時でなくてもよい場合、内服薬の種類数の減少はいつを起点とすればよいか。
(答)同時でなくてよい。保険薬剤師が減薬の提案を行った日以降に、内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
算定のコツは?
1度算定するだけでもかなりハードルが高い服用薬剤調整支援料ですが、ここで算定するためのコツを紹介しておきます。
文書は郵送ではなく医師と面会し直接渡す
いくら文書の内容が薬学的に素晴らしい提案であっても、医師に見てもらわないと意味がありません。削除提案の文書など初めて貰う医師も多いでしょう。
医師と直接顔を合わせ、自分の言葉で伝えた方が熱意も伝わり、提案内容に問題がなければ処方削除される可能性は高くなります。
処方削除すれば病院にも得(利益)があることを伝える
前述したように薬局からの提案を踏まえ、薬を減らすことで病院側は薬剤総合評価調整管理料を算定できるようになります。つまり、薬局からの提案を受けることで、病院側にも経営的メリットがあるということを伝えるわけです。
院長に直接提案する際などは、かなり有効な手段だと思われます。
薬剤総合評価調整管理料とは?
薬局からの削除提案を受けて、薬を2剤以上削除かつ情報提供した場合、病院側は250点+50点の計300点(3000円)の利益となります。
薬剤総合評価調整管理料 250点
注1 入院中の患者以外の患者であって、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、当該処方の内容を総合的に評価及び調整し、当該患者に処方する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
2 処方の内容の調整に当たって、別の保険医療機関又は保険薬局に対して、照会又は情報提供を行った場合、連携管理加算として、50点を所定点数に加算する。
最後に
今回の記事で、服用薬剤調整支援料1を算定することの難しさがわかっていただけたかと思います。
とはいえ服用薬剤調整支援料1は、地域支援体制加算の算定要件にも含まれているため、今後算定を考えている薬局も多いことでしょう。
地域支援体制加算の算定条件について確認したい方はこちら!
今回の記事が少しでも算定の手助けになれば幸いです。
ではまた。