今回のテーマは、利尿薬について。
利尿薬の中でもループ利尿薬にスポットをあてていきます。
ループ利尿薬の種類は、
・ダイアート
・ラシックス
・ルプラック
の3剤となります。
今回は、ループ利尿薬3剤の違いや使い分けについて徹底解説していきます。
ループ利尿薬の種類
冒頭でも記載したようにループ利尿薬は、ダイアート(アゾセミド)、ラシックス(フロセミド)、ルプラック(トラセミド)の3剤が販売されています。
ちなみに3剤とも古くから販売されている薬で、ジェネリック医薬品もそれぞれ販売されています。
用法の違い
用法は3剤とも1日1回で同じです。
規格の違い
ダイアートとルプラックは2つの規格があるのに対し、ラシックスは3つの規格があるため、より用量調節しやすい薬と言えるでしょう。
利尿効果の違い
ダイアート≦ラシックス<ルプラックの順で利尿効果が強くなります。
特にルプラックの利尿効果は強く、ラシックスの10〜30倍と言われています。
また、ダイアート60mgとラシックス40mgが同等の強さと言われています。
しかし添付文書上では、ラシックスは80mgまで用量アップが可能な薬であるため、ダイアートよりもラシックスは症状に合わせて用量調節が可能な薬と言えるでしょう。(ダイアートは通常60mgまで ※適宜増減の記載はあり)
通常、成人にはフロセミドとして1日1回40~80mgを連日又は隔日経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。引用元:ラシックス錠 添付文書
通常成人1日1回1錠(アゾセミドとして60mg)を経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。引用元:ダイアート錠 添付文書
・ループ利尿薬の中でルプラック(トラセミド)が一番効果が強い
・ダイアート60mg(アゾセミド)とラシックス40mg(フロセミド)が同等
効果持続時間の違い
効果持続時間はダイアートが一番長く、ラシックスが一番短い薬となります。
ダイアートは、1日通して浮腫みを抑えることができない患者には、利点のある薬と言える一方、夜間頻尿には注意が必要となります。
いずれにせよループ利尿薬の服用は、午前の服用がベストと言えるでしょう。
・ループ利尿薬の中でダイアート(アゾセミド)が一番効果時間が長い
その他・特徴
ダイアモックス
ラシックス40mgとダイアート60mgの効果は同等であると「利尿効果の違い」の項目で記載しましたが、ダイアートは効果時間が長いこともあり、ラシックスよりもマイルドなイメージで効果を発揮する薬です。そのため心不全の予後に対しては、ラシックスよりもダイアートの方が改善効果が高いと言われています。
ラシックス
ループ利尿薬の中で唯一高血圧にも適応があります。つまりラシックスだけは、高血圧患者に対して、浮腫がなくとも使用できる薬となります。(降圧効果の比較データは存在しません。あくまでも添付文書の適応による比較です)
ルプラック
ルプラックは、理論上ループ利尿薬の中で低カリウム血症を一番起こしにくい薬と言われています。
理由として、ルプラックはセララやスピロノラクトンと同じように抗アルドステロン作用を持ち合わせているため、カリウムを保持しつつ利尿効果を発揮する薬と言われています。(あくまでも理論上であり、副作用率の比較データは存在しません)
・ダイアートは、ラシックスよりもマイルドなイメージで効果を発揮する
・ラシックスは、ループ利尿薬の中で唯一高血圧にも適応がある
・ルプラックは、ループ利尿薬の中で低カリウム血症の発症リスクが低い
まとめ
今までの項目をまとめてみました。
ループ利尿薬3剤の使い分け
ダイアート(アゾセミド)
・ラシックスと利尿効果は同等だが、ループ利尿薬の中で一番持続時間が長く、マイルドに効果を発揮する
ラシックス(フロセミド)
・用量調節しやすくスタンダードなタイプ
・ループ利尿薬の中で唯一高血圧にも適応
ルプラック(トラセミド)
・ループ利尿薬の中では利尿効果が一番強い
・低カリウム血症のリスクは理論上低い
以上。
ループ利尿薬3剤の比較と使い分けでした。
ではまた。