今回のテーマは外来服薬支援料。
名前は聞いたことがあるけど、よくわからないので実際に算定したことはない!
という薬局が多いのがこちらの算定です。
今回は、具体的な事例も紹介しながら外来服薬支援料についてわかりやすく解説していきたいと思います。
点数は?
185点 1人の患者につき、月に1回だけ算定することができます。
算定要件は?
まずは厚生労働省が発行している告示文を見ていきましょう。
注1 自己による服薬管理が困難な患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を確認した上で、患者の服薬管理を支援した場合に月1回に限り算定する。
注2 患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、患者又はその家族等が保険薬局に持参した服用薬の整理等の服薬管理を行い、その結果を保険医療機関に情報提供した場合についても、所定点数を算定できる。
注3 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定しない。
つまり、外来服薬支援料は注1と注2の2つケースで算定が可能というわけです。
しかし、非常にわかりにくい!
「あえて分かりづらくしているのでは?」と思ってしまうほどです。
次の項目で具体的な事例を紹介していきます!
算定できる事例とは?
外来服薬支援料を算定できる具体的な事例を5つ紹介していきたいと思います。
事例① 別に一包化している薬を、合わせて一包化するケース
患者は精神科と循環器それぞれの薬を一包化して服用していた。後日、患者が来局し「服薬を少しでも楽にしたいから、この2つの一包化薬を合わせて一包化し直してほしい」と言われた。※恐らく注1のケース
補足
注1か注2か微妙なケースですが、個人的には注1が優先されると考えます。「どちらでも良いのでは?」と考える方も多いと思いますが、外来服薬支援料を注1と注2のどちらで算定するのか明確にしておくことは、重要なことなのです。詳しくは後述します。
事例② 残薬(ヒート)を薬局に持参され、薬の整理を頼まれたケース
ある日患者が家にあった残薬(ヒート)を大量に薬局に持ってきた。「実は飲み忘れが昔から多くて。昔使っていた薬も混ざっていて、どれが何の薬かもわからない。そこでどれが何の薬か教えてほしい。ついでにそれぞれの薬の期限も教えてほしい」と言われた。※注2のケース
補足
具体的にこの事例が算定可能と明記された資料はありませんが、注2に沿って算定する正当なケースはこれぐらいしか思い浮かびません。「服用薬の整理等」というのが、どこまで含まれるのかが気になるところです。わかり次第追記します。
事例③ 患者さんの家に訪問しお薬の整理をしたケース
患者と話していると、どうやら家に大量の残薬があり何がなんだかわらかない状況になっているとわかった。一度家に来て薬の整理を手伝って欲しいとの要望を受けたので、患者宅に訪問し、不要な薬や残薬を整理した。※注2のケース
補足
こちらも厚生労働省の通知では、訪問時の具体的な作業内容は明記されていませんが、わざわざ家まで訪問し薬の管理を手助けしたわけです。一包化せずに薬の整理をしただけでも算定は可能と思われます。現実的に交通費までいただくのは難しいかもしれませんが。
患者の来局時のほか、患者の求めに応じて保険薬剤師が患者を訪問して服用薬の整理等を行った場合でも算定できる。この場合、訪問に要した交通費(実費)は患家の負担とする。なお、服薬管理を容易にするような整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない。
事例④ 残薬(ヒート)を薬局に持参され、薬の整理や一包化を頼まれたケース
ある日患者が家にあった残薬(ヒート)を大量に薬局に持ってきた。「実は飲み忘れが多くて。この袋の中には、今飲んでいない薬も入っているのだけど、必要な薬と不要な薬に分けて、さらに必要な薬は一包化して飲みやすくしてもらえないか?」と言われた。※恐らく注1のケース
補足
注1か注2か微妙なケースです。患者持参の薬を整理することから、注2と考えてしまうケースですが、ヒート薬を新たに一包化することになるため、事前に医師へ確認もしたいところです。個人的には注1が優先されると考えます。
事例⑤ 2枚の処方箋を受付し合わせて一包化するケース
患者が2枚の処方箋(病院は異なる)を持って来局した。患者が「服薬を少しでも楽にしたいので、この2枚の処方箋薬を合わせて一包化してほしい」と言ってきた。※注1のケース
補足
こちらの事例が算定可能かどうかは、よく議論になると思われますが結論から言うと算定は可能です。
なぜ議論になるかと言うと、こちらの疑義解釈があるためです。
同一又は異なる保険医療機関の複数診療科から処方日数の異なる処方せんを保険薬局が受け付けた場合、薬剤等を整理し、日々の服薬管理が容易になるように支援すれば、その都度、外来服薬支援料を算定できるのか。
(答)算定できない。外来服薬支援料は、患者または家族が持参した「服薬中の薬剤」 に関する服薬支援を評価しているものである。
この回答を見る限りでは、外来服薬支援を算定するためのポイントは服薬中の薬剤に対して支援をおこなった時だけ算定できると記載があります。
しかし!
こちらをご覧下さい。
Q150 異なる保険医療機関から交付された処方箋で、ともに一包化の指示があるものについて、患者の希望に応じてこれらを一包化したような場合には、外来服薬支援料を算定することはできますか。また、もし算定できるとしたら、「月◯回まで」のような制限はあるのでしょうか。
A 算定できます。ただし、処方箋を受け付けと同時に実施する場合には、処方箋に係る調剤料は内服薬のみ算定してください。(一包化加算は算定できません)。また、算定回数については、平成28年4月より「月1回に限り」とされています。
引用元:平成30年度版 保険調剤Q&A Q150
質問の内容はほぼ同じですが、
回答内容は真逆で外来服薬支援料を算定できると記載があります。
解釈が途中で変更になったということでしょうか?
もしくは、違いとして「患者の希望に応じて」行う場合はOKだとも考えることができます。
この事例⑤が薬局で一番よく遭遇するケースだと思われるので、このケースで算定できることを理解しておくことは非常に重要なことです。
算定できない事例とは?
外来服薬支援料を算定できない事例を1つだけ紹介しておきます。
服薬途中で処方医から中止の指示があったため、一包化した調剤済みの薬剤から薬を取り除いたケース
一包化調剤して薬を渡していた。後日、一包化した薬の中で副作用がでている薬が1剤あるため、処方医からその1剤だけ中止するよう患者さんに指示があったらしい。そのため、患者さんが「一包化した薬から副作用がある薬だけを取り出して、再度一包化してほしい」と言ってきた。
補足
一見、問題なく算定できそうなケースですが、こちらは算定不可なようです。保険調剤Q&Aのアンサーを見ても、理由に関しては正直しっくりきません。
このようなケースは無料でやって当たり前という解釈なのでしょうか。
結構このケースも手間がかかりますけどね。
Q151 異なる保険医療機関から交付された複数の処方箋に基づいて調剤された薬剤を一包化するなど服薬支援した場合は、外来服薬支援料を算定できますが、例えば1つの保険医療機関から交付された処方箋の薬剤について、服薬途中で処方医から中止の指示があったため、患者の要望により一包化した調剤済みの薬剤から当該薬剤を取り除いた場合にも、外来服薬支援料を算定することは可能でしょうか。
A 算定できないものと考えます。
外来服薬支援料は、患者が使用中の薬剤について「一包化や服薬カレンダーの活用等により薬剤を整理し、日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合」に算定するものです。留意事項として明記されている内容からは、一包化された調剤済みの薬剤の中から使用中止となった薬剤を取り除くという行為も算定対象として認められるようにもみえます。しかし、同点数で想定している主なケースは「薬剤の一包化による服薬支援」であり、これは「多種類の薬剤が投与されている患者においてはしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的」としています。したがって、一度服薬支援もしくは一包化した薬剤を取り除いたとしても、残念ながら外来服薬支援料として評価されている範囲外、すなわち算定対象として認められないと解釈せざるを得ないでしょう。
引用元:平成30年版 保険調剤Q&A Q151
算定するための注意点は?
ここでは、外来服薬支援料を算定するための注意事項を紹介しておきます。
医師への確認 or 情報提供が必要
外来服薬支援料を算定するためには、冒頭で紹介した厚生労働省発行の告示分にもあるように、医師への確認or医師への情報提供が必要となります。
注1の場合➡︎支援前に医師へ確認。
注2の場合➡︎支援後に医師へ情報提供。
※注2の場合はブラウンバッグの提供も必要
つまりは、算定するケースが注1なのか注2なのかを見極める必要があるわけです。しかし、注1なのか注2なのか微妙なケースもあると思います。また、注2で算定する場合はブラウンバッグが必要となってくるため、とりあえず注1に沿って算定(医師へ事前に確認)しておけば間違えないと個人的には考えています。
ブラウンバッグについては後述します。
外来服薬支援料と一包化加算は同時算定できない
算定できる事例で紹介したように、外来服薬支援を行う際は一包化調剤をする機会がとても多いです。普通に考えれば外来服薬支援料と一包化加算を同時算定したいところですが、同時算定はできないと厚労省の通知文に明記されています。
外来服薬支援は、処方箋によらず、調剤済みの薬剤について服薬管理の支援を目的として行うものであるため、薬剤の一包化を行った場合でも、調剤技術料は算定できない。
外来服薬支援料と薬局の基本料は同時算定できない
一包化加算を同時に算定できないのはわかったとして、薬局の基本料(調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算など)は同時に算定したいところです。しかし残念ながら基本料も同時算定はできないと保険調剤Q&Aに明記されています。(事例⑤のような処方箋受付と同時に算定する場合は算定可能)
外来服薬支援料を算定する場合、処方箋受付回数は生じません。
したがって、外来服薬支援料と併せて、調剤基本料、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算などの点数を算定することはできません。
引用元:平成30年版 保険調剤Q&A Q149
注1で算定する場合は他で調剤された薬も算定可能
注1に沿って算定する場合は、他薬局や院内で調剤された薬に対しても外来服薬支援料が算定可能となります。「この薬はうちの薬局で調剤してないから関係ないです!」とはならないよう注意しましょう。
「注1」については、外来服薬支援を行うに当たり、患者が、当該保険薬局で調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤を服用 していないか確認し、極力これらの薬剤も含めて整理するよう努める。また、実際にこれらの薬剤も含めて服薬支援を行う場合には、重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行い、適切な措置を講じる。なお、患者に対する服薬中の薬剤の確認や 処方医への照会等を行った上で、結果として、他の保険薬局で調剤された薬剤又は保険医療機関で院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合(当該保険薬局で調剤を受けていない患者が持参した、他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤について服薬支援を行う場合を含む。)でも算定できる。
注2で算定する場合はブラウンバックの配布や周知が必要
注2に沿って算定する場合は、ブラウンバッグを患者に提供、さらには患者に周知しておく必要があります。
ブラウンバッグ。つまりは残薬回収袋を事前に患者さんに配布しておき、さらには残薬回収の取り組みを薬局内で知らせておく(ポスター等)必要があるわけです。
「注2」については、患者が保険薬局に持参した服用中の薬剤等の服薬管理を行い、その結果を関係する保険医療機関へ情報提供した場合に算定できる。算定に当たっては、 あらかじめ、患者又はその家族等に対して、保険薬局へ服用中の薬剤等を持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を提供し、患者等が薬剤等を持参することで服薬管理を行う取組(いわゆるブラウンバッグ運動)を周知しておく。
ブラウンバックについて詳しく知りたい方はこちら!
レセプト摘要欄への必要記載事項は?
レセプト摘要欄への記載を忘れると、返戻にあってしまう可能性もあるため、こちらも非常に重要です。
<レセプト摘要欄への必要記載事項> ※平成30年版 保険調剤Q&A Q153を参照
・服薬支援をおこなった日付
・服薬支援した薬を処方した医師の名前と病院の名称
薬歴への必要記載事項は?
レセプト摘要欄に加えて、薬歴にも必要事項を記載する必要があります。
薬歴への必要記載事項は4点あります。
<薬歴への必要記載事項>
① 処方医の了解を得た旨 or 処方医へ情報提供した内容
② 服薬支援の内容
③ 服薬支援の理由
④ 服薬支援をおこなった薬の名称
外来服薬支援料を算定する場合は、服薬支援に係る薬剤の処方医の了解を得た旨又は情報提供した内容並びに当該薬剤の名称、服薬支援の内容及び理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
最後に
いかがでしたか?
外来服薬支援料を算定するためには、様々なハードルがあることがわかっていただけたかと思います。
とても手間のかかる算定ではありますが、地域支援体制加算を算定するためには外来服薬支援料の算定件数を増やしていく必要があります。
地域支援体制加算の算定要件を詳しく確認したい方はこちら!
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。ではまた。