今回のテーマは、レシカルボンとテレミンソフトの違いについて。
どちらも便秘薬として用いられる坐薬ですが、意外と異なる点が多いので解説していきます。
作用機序の違い
どちらも刺激性下剤(大腸を刺激して便をだす)に含まれる便秘薬ですが、刺激する方法が異なります。
レシカルボンは炭酸ガスを発生させて間接的に大腸を刺激する薬である一方、テレミンソフトは薬の成分そのものが直接的に大腸を刺激する薬です。
そのため一般的には、
<レシカルボン>
比較的弱め、連用しても耐性ができにくい
<テレミンソフト>
比較的強め、連用で耐性ができやすい
というようなイメージで使用されています。
規格・薬価の違い
レシカルボンの規格は1つのみに対し、テレミンソフトの規格は2mgと10mgの2つが存在するため、用量も調節しやすく、また2mgの規格は乳幼児から使用可能な薬となります。
用法及び用量
ビサコジルとして、通常1回、乳幼児は2mgを、1日1~2回肛門内に挿入する。
また、薬価に関してもテレミンソフトの方がレシカルボンよりも安い薬です。
大きさの違い
僅かではありますが、レシカルボンはテレミンソフトと比較して大きめに作られています。坐薬は小さいサイズの方が入れやすいため、大きさの面ではテレミンソフトに利点があると言えるでしょう。しかし、違いはごく僅かです。
保存方法の違い
レシカルボンは冷所保存であることに対して、テレミンソフトは室温保存となります。冷所保存は持ち運びに不便となるため、保存方法に関して言えば、テレミンソフトに利点があると言えるでしょう。
効果発現時間の違い
効果発現時間は、2剤でそれほど差はありません。個人差もあるため、どちらの方が早く効果がでるとは一概に言えないでしょう。
妊婦への使用について
レシカルボンは、妊婦に対する安全性・危険性が記載されている資料が存在しませんが、作用機序から比較的安全に使用できる薬と考えられているようです。
対するテレミンソフトは、オーストラリア分類は「A」と比較的安全に妊婦に使用できるというデータもありますが、添付文書には「子宮収縮誘発により、切迫流産の危険性がある」と記載されているため、注意が必要な薬となります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には大量投与を避けること。[子宮収縮を誘発して、流早産の危険性がある。]引用元:テレミンソフト 添付文書
オーストラリア分類Aとは?(要約)
多数の妊婦に使用されてきた薬だが、奇形の頻度や胎児に対する有害作用の頻度が増大するという証拠は観察されていない。
妊娠中によく処方される便秘薬の違いやオーストラリア分類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
今までの項目をまとめてみました。
レシカルボンとテレミンソフトの使い分け
レシカルボン
【メリット】
・連用しても耐性ができにくい
・妊婦にも安全に使用できる(あくまでも理論上でデータは存在しない)
【デメリット】
・値段が高い
・冷所保存であり、保管が面倒
テレミンソフト
【メリット】
・規格の幅があるため、用量調節しやすい
・乳幼児から使用可能
・値段が安い
・サイズが比較的小さいため使いやすい
・室温保存であるため、保管が楽
【デメリット】
・連用することで耐性ができやすい
・妊婦に使用する際は注意が必要(ただ、オーストラリア分類はA)
以上。レシカルボンとテレミンソフトの違いでした。
ではまた。