今回のテーマは、原則禁忌について。
薬剤師であれば誰でも一度は聞いたことがある言葉でしょう。
しかし原則禁忌と禁忌の違いをしっかり理解している薬剤師はどれほどいるでしょうか?
そこで今回は、禁忌と原則禁忌の違いについてわかりやすく解説していきます。
禁忌と原則禁忌の違いとは?
それぞれの正確な意味を確認していきます。
禁忌
当該医薬品を使用してはいけない患者を記載しています。
引用元:医療用医薬品の添付文書情報【禁忌】
要約すると「使用してはいけない」という意味となるようです。
原則禁忌
当該医薬品を使用しないことを原則としますが、特別に必要とする場合には慎重な使い方をするべき患者を記載しています。
引用元:医療用医薬品の添付文書情報【禁忌】
要約すると「使用しない方が良いけれど、特別な理由があれば使用してよい」という意味となるようです。
まとめ
それぞれの意味はわかりました。
しかし原則禁忌という言葉は、現場で直面すると困ってしまいますよね。
禁忌であればDrにも疑義紹介しやすいですが、原則禁忌となればどうしよう。。という薬剤師も多いでしょう。
そんな悩みを解決すべく、添付文書の記載要領が20年ぶりに改正されることになったのです!
原則禁忌という記載は廃止!
添付文書の記載要領改正に伴い、2019年4月以降「原則禁忌」というワードが廃止されることになりました。
なぜ廃止される?
2008~2010年に実施された厚生労の調査では、医師・薬剤師ともに「原則禁忌」は「禁忌と同等」とする回答と、「原則禁忌」は「慎重投与や併用注意と同等」とする回答がそれぞれ約半数になるという結果が出たそうです。
このように、医療従事者により考えが異なるようでは現場で混乱を招いてしまうため、「原則禁忌」は廃止となりました。
原則禁忌は何に変更される?
「原則禁忌」の内容は「 禁忌」または「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目へ移行となります。
つまりは、「使用を禁止してほしい薬」と「使用の際には注意してほしい薬」の2つに分けられるということです。
全ての薬が対象?
もちろん全ての薬が対象となりますが、現時点では新薬と一部の既存薬のみに適応されているようです。
既存の薬の原則禁忌も順次全て変更していく予定とのことですが、まだ変更されていない薬が多い状況です。添付文書を変更すれば莫大な情報提供料がかかるためなのか、理由はわかりません。
一部の既存薬とは?
すでに変更された薬をいくつか紹介します。
しかし、紹介した上記の薬も一部が「禁忌」に移行されただけで「原則禁忌」の記載はいまだ残っている状況です。
引用元:イソミタール原末 添付文書
原則禁忌が添付文書上から完全に消えるのはまだまだ先になりそうですね。
ではまた。