薬局で働いているとよく聞かれるこの質問。
今回は、ロキソニンとカロナールの違いについて徹底解説していきます。
薬価・規格の違い
ロキソニンは60mgの1規格のみに対して、カロナールは200mg、300mg、500mgの3規格が存在します。
カロナールは、細かく用量調節がしやすいと言えるでしょう。
効果の違い
ロキソニンは鎮痛、解熱、抗炎症の3つの効果があるのに対して、カロナールは鎮痛、解熱の2つの効果があります。
飲み方・最大用量の違い
ロキソニンの最大用量というのは、意外と薬剤師でも知らない方が多いです。理由は、ロキソニンの添付文書には最大用量がはっきりと記載されていないためです。
添付文書を確認すると、180mgが最大用量と思ってしまいがちですが、適宜増減、屯用の服用回数が記載されていないことを考慮すると180mg以上服用できると考えられます。
そこで、ロキソニンのインタビューフォームを確認したところ、答えになるであろう記述を見つけました。
健康成人男子6名に対して本剤10~120mgを単回投与した。また、健康成人男子10 名に対し120~240mg/日を1日3回経口投与した。また同一10名に対し、240mg/日を1日3回5日間連続投与した。以上の試験の結果、240mg/日投与開始時に一過性の軽度の尿量の減少を認めた以外、特に問題とすべき異常は認められなかった。本剤は健康成人では1回120mgまで、また1日240mg まで安全に投与できるものと結論づけられた。
症例数は少ないとはいえ、上記の内容からロキソニンの最大用量は240mgと考えるのが妥当と思われます。
対してカロナールは、風邪による解熱・鎮痛の場合1500mg、その他の痛みを抑える場合4000mgが最大用量となっています。(成人の場合)
とはいえ、高用量の使用は、副作用のリスクを上昇させるので、過度な使用は極力控える必要があります。
注意すべき副作用の違い
ロキソニンは胃粘膜障害の副作用があるのに対して、カロナールは肝障害に注意する必要があります。(※特にカロナールは、1日1500mg以上を連用する場合、要注意)
胃粘膜障害、肝障害はどちらも甘く見てはならない副作用ではありますが、ロキソニンを服用する際は、さらに注意が必要な項目があります。
ずばり、
インフルエンザにロキソニンはNG!
インフルエンザに感染している時にロキソニンなどのNSAIDSを服用すると、インフルエンザ脳症やライ症候群と言う重篤な副作用を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至ります。
そのため、インフルエンザと診断された時に処方される解熱・鎮痛薬はほぼ間違えなくカロナールです。
そもそも熱がある時点で、インフルエンザの可能性も捨てきれないため、解熱目的でロキソニンが処方されることはほとんどないでしょう。
どっちが強いのか?
一般的に、ロキソニンの方が強いと言われています。(鎮痛効果)
もちろん、個人差があること、さらにはカロナールの用量を増やせば、ロキソニンの方が強いとは一概には言えないでしょう。
強さの比較データ(鎮痛効果)
下記のリンクは、ロキソニンとカロナールの強さを比較した論文になります。
この論文によると、腰痛症の患者に対して、ロキソニン180mgとカロナール2400mgの比較試験を行った結果、鎮痛効果は同等であったという結果がでています。※半数は脱落しているようで、エビデンスは高いとは言い難い
また、いくら鎮痛効果が同等であるといっても、カロナールは2400mgなので、相当な量を服用することになります。 やはり、カロナールよりロキソニンの方が鎮痛効果が高いと言っても過言ではないでしょう。
ちなみに、ロキソニンとカロナールで、解熱効果の違いを比較したデータは存在しません。しかし、解熱目的でロキソニンが処方されることはほとんどないため、2剤の解熱効果の違いを知る必要はないと私は考えます。
・鎮痛効果はロキソニンの方が強い!
妊婦への投与について
ロキソニンの妊婦への使用は、データ量も少ないため、安全には使用できないと言えるでしょう(オーストラリア分類も記載なし)。また、ロキソニンは妊娠末期の方は、禁忌となっているため、絶対に使用できません。
対して、カロナールはデータ量も多く蓄積されており、比較的安全に妊婦へ使用することができるでしょう(オーストラリア分類はA)。
とはいえカロナールも、ラットでは動脈管収縮の報告もあるため、可能なかぎり使用は控える必要があります。
オーストラリア分類とは?
オーストラリア医薬品評価委員会による分類で、A,B,C,D,Xの5段階にカテゴリー分けされます。特徴としては、過去の妊婦への使用実績を元に定義されているため、比較的信頼性は高いのではないかと個人的には考えています。
・妊婦への使用はカロナールの方が安全
授乳中の投与について
ロキソニンの添付文書には、授乳を中止するよう記載がありますが(カロナールは何も記載なし)、授乳婦への投与データが蓄積された結果、2剤とも授乳中に投与できる安全な薬であると国立成育医療研究センターが発行している授乳中に使用できると考えられる薬に記載されています。
とはいえ、授乳中の連用や高用量の使用はもちろん控えましょう。
子供への投与について
ロキソニンの添付文書には、小児(15歳未満)には安全性が確立していないと明記されています。(※使用不可ではない)
しかし、使用不可ではないというところがポイントで、15歳未満でも処方する医師はたまにいます。
対して、カロナールの添付文書には幼児(1歳以上)からの服用量が記載されているため、安心して子供へ使用できると言えるでしょう。
・子供への使用はカロナールの方が安全
同時に服用してもよい?
基本的に同時服用は禁止されていません。
同時に服用することで効果は高まるでしょうが、その反面副作用がでる確率も高まります。(単純にロキソニン、カロナール両剤の副作用がでる可能性)
当たり前ですが、 自己判断で同時に服用することは避けましょう。
まとめ
ロキソニンとカロナールの使い分け
ロキソニン
・とにかく痛みをとりたい
カロナール
・解熱目的
・インフルエンザに感染した時
・子供に使用する時
・妊婦に使用する時
ではまた。