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本当にペニシリンアレルギー?医師、薬剤師に知ってもらいたい、より良い治療のための真実!

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今回はペニシリンアレルギーの話。

薬局で働いている人なら、誰でも一度はペニシリンアレルギーだと申告する患者に出会ったことがあると思います。

ペニシリン系抗菌薬が処方されていたが、薬局でペニシリンアレルギーだと発覚。そのため、疑義照会でペニシリン系以外の抗菌薬に変更してもらった。

とてもよくあるこのパターン。

本当に正解でしょうか?

そもそもペニシリンアレルギーの事を本当に理解しているでしょうか?

薬剤師はもちろん、医師にも聞いてみたい質問です!

実際のところ、医師、薬剤師の多くはペニシリンアレルギーの事をよく知らずに薬の変更を検討しているでしょう。

今回は、ペニシリンアレルギーについて詳しく解説していきますよ!

そもそもペニシリンて何?

一言で言うなら、

世界初の抗生物質

ペニシリンの発見は、現代化学を作り上げた最も偉大な発見の1つとも言われています。ペニシリンがなければ、他の抗菌薬を開発する事はできなかったでしょう。

ペニシリンの正体は、

青カビ

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1928年、イギリスの学者であるアレクサンダー・フレミングが菌を培養している培地にたまたま青カビを落としてしまったところ、青カビの周辺だけ菌が繁殖していなかったことから発見できたそうです。

名前の由来はアオカビの属名であるPenicilliumにちなんで、ペニシリンと名付けられました。

ではペニシリンアレルギーとは?

文字通り、ペニシリンを服用することで起こるアレルギー症状です。

アレルギー症状と言うと湿疹や皮膚炎のイメージがありますが、ペニシリンアレルギーで一番怖いのは、

アナフィラキシーショックです。

血圧低下や呼吸困難、場合によっては意識障害を引き起こします。

また、引き起こすと10%の確率で死に至る可能性もあります。

ペニシリンアレルギーを怖がる必要はない?

死ぬ可能性があると怖い話をしたばかりですが、

実はペニシリンアレルギーを怖がる必要はありません!

理由は明確。

アナフィラキシーショックが起こる可能性は低いからです。

ペニシリンを投与された患者の0.01〜0.05%に発症すると言われています。

(※文献によってはもっと低い発症率が記載されているものもあります)

よって、ペニシリン系抗菌薬を服用して死に至る確率は極めて低いということがわかります。

また、アナフィラキシーショックばかりを怖がり、他の抗菌薬を使い続けることは実はリスキーなことなのです。

ペニシリン系以外の抗菌薬を使用し続ける事で起こり得る問題とは?

耐性が出現したら厄介

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広域スペクトルの抗菌薬を使用し続ければ、耐性ができてしまう可能性もあるでしょう。重篤感染症や肺炎治療の際など、広域スペクトルの抗菌薬が絶対に必要なケースがあります。いざという時に耐性ができていたら治療が困難になってしまいます。

ピロリ菌の除菌が困難

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保険適応のピロリ菌除菌薬(パック製剤)には、すベてペニシリン系の抗菌薬が含まれています。ペニシリンアレルギーの患者も治療方法は存在しますが、全て自費となるため、治療が困難となります。

詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

医療費が上がる

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基本的にペニシリン系以外の抗菌薬の方が薬価が高いです。ペニシリン系以外の抗菌薬を使用し続けることで医療費が高騰してしまうことは、国や患者さんにもデメリットとなります。

「過去にペニシリン系を服用したら湿疹がでた=ペニシリン系は禁忌」は間違え!

ペニシリンアレルギーは怖くないと言われても、昔ペニシリン系の抗菌薬を服用して湿疹がでたことあるからやっぱり不安なのよね」

このように患者さん言われらたらどう考えますか?

過去にペニシリン系の抗菌薬を服用したら湿疹がでた=ペニシリン系は禁忌

もしこのように考えているようであれば、

それは間違えです!

なぜ間違えなのか?

実は下記のような衝撃データがあります。

ペニシリンアレルギーと申告する9割以上の方は、

検査をするとなんと陰性!

※文献によっては100%陰性だったなんていう報告もあります。

一体どういうことなのでしょうか?

ペニシリンアレルギーと申告する患者のほとんどはなぜ検査をすると陰性なのか?

理由は主に2つあると考えます。

理由① 「ペニシリンは怖い薬」という話しばかりが一人歩き

ペニシリンアレルギーについては、一般市民はもちろん、医師や薬剤師でさえ正しい情報を持っていない方が多いです。

ペニシリン系の抗菌薬を使用したら、

「湿疹のようなものがでたかも」「なんか合わないような気がする」

と患者さんから話しをされると、知識のない医師、薬剤師は

ペニシリンアレルギーはとても怖いので、この系統の薬は今後使わない方がいいですよ!」

なんて患者さんに言ってしまうのです。

そのようなことが繰り返され、

ペニシリンは怖い薬」という間違った情報が一人歩きしてしまっているのです。もちろん「ペニシリン=安全な薬」というわけではありません。

適切に使用することが大切です!

理由② ペニシリンアレルギーは永遠に続くわけではない!

 ペニシリンアレルギーは一生続くと思ってしまいがちですが、実はそんな事はありません!

なんとペニシリンアレルギーは時が経過すると消失するのです!

仮に重篤アナフィラキシーショックを引き起こしても数年〜数十年後に、もう一度検査をおこなうとほとんどの方が陰性になっているようです。

※5年で約50%、10年で約80%の患者さんがアレルギー消失との報告あり。

ではどうすれば良いのか?

では患者さんから「私ペニシリンアレルギーかも」と言われた場合、どのような対応をとることが正解なのでしょうか?

解決策① 問診から本当にペニシリンアレルギーなのかを探る

アレルギーは、I型〜Ⅳ型までの4つの型に分類され、

その中でもⅠ型とⅣ型が大半を占めると言われています。

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アレルギー症状が起きた時の状況を思い出してもらい、情報を整理します。

・薬を服用してどれぐらい経ってから発症した?

・どんな症状だった?

ペニシリン系抗菌薬以外の薬は飲んでいなかった?

さらに、お薬手帳や過去歴を確認し、偶然ペニシリン系抗菌薬を使用していることはなかったか等も確認します。(過去に偶然使用して問題なければペニシリンアレルギーの可能性はなし)

解決策② ペニシリンアレルギーの検査を勧める

検査を勧めると言っても、今日、病院や薬局に来てる患者さんに薬を渡さないわけにはいきません。今回は、ペニシリン系以外の抗菌薬をとりあえずお渡しして、後日ペニシリンアレルギーの検査を受けるよう勧めましょう。

その時、憶測だけでペニシリン系以外の抗菌薬を使い続けることのデメリットも患者さんにしっかり話しておきましょう。

最後に

正直、ペニシリンアレルギー疑いの患者対応は非常に難しいのが現実です。

直近のリスクを避けるためにペニシリン系以外の抗菌薬を使い続けることは、将来的に大きなリスクを抱えてしまう可能性があるということは把握しておきましょう!

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医師、薬剤師は正しい知識を持ち、総合的な判断をすることが求められます!

ではまた。