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刺激性下剤の使い分けを解説!耐性・妊婦への使用・効果発現時間の違いは?

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今回のテーマは、刺激性下剤について。

比較的効果が高いことで知られ、処方される頻度の高い便秘薬の1つです。

今回は、刺激性下剤の違いや使い分けについて徹底解説していきます。

成分名・代表的な商品名

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刺激性下剤は、プルゼニドやアローゼンラキソベロンテレミンソフトレシカルボングリセリン5種類に大別することができます。

プルゼニド錠とアローゼン顆粒も厳密には異なります。

プルゼニドとアローゼンの違いについては、こちらの記事で解説しています。

では次に、刺激性下剤の5種類がどのように違うのか確認していきます!(わかりやすいよう商品名で違いを記載していきます)

作用機序の違い 

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プルゼニドとラキソベロンは作用機序が同じとなりますが、他の3剤は少しずつ作用機序が異なります。

テレミンソフトは直接腸を刺激する薬である一方、レシカルボンは炭酸ガスを発生させることで間接的に腸を刺激する薬です。

テレミンソフトとレシカルボンの違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

グリセリン浣腸は、浸透圧効果により腸を刺激する薬であるため、考え方によっては、浸透圧性下剤にも分類される薬と言えるでしょう。

浸透圧性下剤の分類については、こちらの記事で詳しく解説しています。

大腸の刺激部位の違い

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プルゼニドやラキソベロンは、大腸全体を刺激することで効果を示す一方、テレミンソフトやレシカルボン、グリセリンは大腸の終点部位である直腸を刺激することで排便を促します。  

剤形の違い

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ラキソベロンの剤形は、液剤、錠剤、ドライシロップ、顆粒と多く存在するため、様々な患者の要望に対応できるという利点があります。

逆にテレミンソフトやレシカルボン、グリセリンは、坐薬と浣腸のみの剤形となるため、使用されるシーンが限定されると言えるでしょう。

長期投与による耐性の違い

刺激性下剤を使用する上で最大のデメリットとなるのが、長期投与による耐性(薬が効かなくなる)の問題です。

どの薬が一番耐性ができやすいというデータは存在しませんが、一般的にラキソベロンは、刺激性下剤の中では耐性ができにくい薬と言われています。(あくまでも刺激性下剤の中で!)

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また、作用機序の項目でも記載したように、レシカルボンは炭酸ガスを発生させて間接的に腸を刺激する薬(テレミンソフトは直的的に刺激)です。よってレシカルボンは、テレミンソフトと比較して刺激作用が弱めであるため、耐性ができにくいと言われてます。

とはいえ、剤形は坐薬です。そもそも坐薬を耐性ができるほど連用するケースは少ないでしょうが。。

効果の違い(個人的推察)

耐性の違いは、腸を刺激する強さの違いとも考えることができます。(個人的推察)

そのため、プルゼニドの方がラキソベロンよりも効果が強く、テレミンソフトの方がレシカルボンよりも効果が強いと想定できます。

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さらに在宅医療を経験された方であればわかると思いますが、グリセリン浣腸は便秘を解消するための最終手段というイメージがあるはずです。

そのため、刺激性下剤の中で一番効果が強い薬はグリセリン浣腸と考えるのが妥当と思われます。(個人的推察)

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とはいえ、グリセリン浣腸は高齢者など肛門括約筋の筋力が低下している方には、グリセリンをいれた直後に薬がでてしまったり、脱水にも注意(過度な排泄による)が必要な薬であることは忘れてはいけません。

妊婦への使用の違い 

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安全性のデータは蓄積されていませんが、ラキソベロンとレシカルボンは、刺激性下剤の中では比較的安全に妊婦に使用できる薬と言われています。

ラキソベロンとレシカルボン以外の刺激性下剤は、上記表にもあるように子宮を収縮させる可能性が添付文書で示唆されているため、完全な禁忌ではないものの、実際に使用されるケースは少ないでしょう。

妊娠中に処方される便秘薬の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

効果発現時間の違い

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プルゼニドやラキソベロンは、効果がでるまでに約8時間ほどかかるため、即効性はありません。夜に服用すると、明け方ぐらいに効果がでてくるイメージです。

逆に坐薬や浣腸の薬は、どれも1時間以内に効果を発揮するため、即効性がある薬と言えます。便秘がひどく、緊急的に排便が必要な時には適していると言えるでしょう。 

まとめ

今までの項目をまとめてみました。

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どの薬が一番良いということはなく、状況により使い分けていく必要があります。

刺激性下剤の使い分け

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・妊娠中に使用する刺激性下剤は、ラキソベロンorレシカルボン坐剤

・ラキソベロンよりもプルゼニドの方が効果が強い

・レシカルボン<テレミンソフト<グリセリン浣腸の順で効果が強くなる

という考えを基にして作成したフローチャートになります。

以上。刺激性下剤の違いや使い分けについてでした。

ではまた。