今回のテーマは、アトーゼットとロスーゼットについて。
アトーゼットとロスーゼットは、スタチン系とゼチーアの合剤であり、最近処方されることも多くなっているであろうコレステロール低下薬です。
合剤になったことで、服薬アドヒアランスの向上が期待できる薬なのですが、1つだけ大きな欠点があります。
それは、
一包化ができないこと!
一包化できない理由は?
どうしても一包化する必要がある時は?
今回はそんなお話しです。
有効成分をおさらい
アトーゼットは、ゼチーアとリピトールの合剤。
ロスーゼットは、ゼチーアとクレストールの合剤となります。
ゼチーア+リピトール、ゼチーア+クレストールの組み合わせで服用している患者は多く、服薬アドヒアランスの観点だけで言えば、合剤としての需要は高いと言えるでしょう。
合剤が一包化ができない理由
では本題にはいります。
まず、アトーゼットとロスーゼットが一包化不可な根拠を記載していきます。
添付文書を確認
取扱い上の注意光及び酸化を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
引用元:アトーゼット 添付文書
取扱い上の注意
アルミニウム袋開封後は、湿気を避けて保存すること。また、光を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
引用元:ロスーゼット 添付文書
一包化不可と直接は書かれていないものの、どちらの薬も服用直前にPTPシートから取り出して服用するよう記載があります。
メーカーのHPを確認
本剤を分包、又は他剤と一包化した際の安定性について検討していませんので、おすすめしていません。引用元:MSD アトーゼット製品情報
本剤を分包、又は他剤と一包化した際の安定性について検討していませんので、おすすめしていません。引用元:MSD ロスーゼット製品情報
どちらも安定性を検討していないため、一包化はおすすめできないとのこと。
「なぜこんな大事なこと検討しないの!?」と個人的には感じます。
一包化ができない理由 まとめ
一包化できない理由を添付文書、メーカーのHPから抽出すると以下になります。
① 光に弱い
② 酸化しやすい(アトーゼットのみ記載あり)
③ 吸湿性がある(ロスーゼットのみ記載あり)
④ 一包化した際の安定性を検討していない
これが一体どれほどなのでしょうか?
インタビューフォームを介して詳しくみていきます。
インタビューフォームを確認
各薬剤のインタビューフォームを確認したところ、やはりアトーゼットとロスーゼットは光に弱く、分解物が増加してしまう(無包装状態)ようです。
安定性試験の結果(無包装状態)は、この光データだけがインタビューフォームに記載されています。
開放状態での酸化・吸湿データは存在しないため、実際のところ本当に酸化・吸湿しやすいのかは不明なところです。
ではそもそも単剤では、一包化できるのでしょうか?
単剤の一包化可否について
結論から言いますと、エゼチミブ(ゼチーア)、アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)は、3剤ともに一包化は可能となります。
※厳密に言えばエゼチミブは、メーカーから一包化をおすすめはされていません。
本剤を分包、又は他剤と一包化した際の安定性について検討していませんので、おすすめしていません。引用元:MSD ゼチーア製品情報
しかし、ゼチーアのインタビューフォームを確認すると、無包装状態で苛酷な環境下に放置しても、含量に変化なく安定であったと記載されているため、理論上一包化は問題ないと考えられます。(現実的に一包化されているケースが多いと思われます)
最後に
以上をまとめると、
単剤では一包化可能だが、合剤になると光に弱くなるため一包化は不可になるというわけです。
なんとも不思議な薬です。
しかし、患者さんの都合上、どうしても一包化が必要なケースも存在します。
そんな時は疑義照会し、単剤に変更してもらうのがベストと言えるでしょう。
また、値段的には単剤の方が安くなる(ジェネリックを使用する場合)ため、そのあたりも含め医師に伝えればスムーズに変更できると思われます。
ちなみにアトーゼットは、LDよりもHDの方が値段が安いという不思議もある薬です。
ではまた。