ヤクペディア

お薬や薬剤師の様々な疑問を解決していく百科事典ブログです

イソジンはコロナに効果ある?使用上の注意点も薬剤師が徹底解説!

今回のテーマは、イソジンについて。

f:id:huji7:20200807074722p:plain

イソジンは、新型コロナウイルスに対して効果があるのか?

そして、使用上の注意点についても薬剤師が徹底解説していきます!

イソジンはコロナウイルスに効果ある?

いきなり本題に入ります。

イソジンは、新型コロナウイルスに効果があるのか?

ずばり。。

わかりません!

えっ!?

効果があるから皆必死になってイソジンを買い求めてるのでは?

ニュースで効果があると言ってたよ!

などという声もあると思いますが、これが真実です。

では、なぜイソジンが今これほど話題になってしまったのか?

それは、以下のような研究結果が発表されたためです。

大阪府知事である吉村知事の発表により!

大阪府内で宿泊療養している軽症や無症状の患者41人を対象。「ポビドンヨード」を含んだうがい薬(つまりはイソジン)で1日4回うがいした人の唾液のPCR検査の陽性率は、1日目は56%で、4日目は9.5%に減った。うがいをしなかった人は、それぞれ68.8%、40%だった。

この研究結果を聞いて、イソジン良いね!

イソジンを買いたい!

と思われた方。

ちょっと待って下さい!!

研究結果に対して言いたいこと

40名のデータは少なすぎる!

通常、薬の治験などで効果、副作用を測定する時は何千、何万人単位を対象にデータが算出されます。それに比べ今回の研究結果は、たったの40名とあまりにも少ない人数です。果たしてこんなデータが信頼できるのでしょうか?

陰性患者に使用したデータではない!

陰性患者がイソジンを使用して、コロナになりにくかった!予防効果がある!という研究結果ならまだわかります。しかし今回の研究では、陽性患者に対して使用することで陽性率が下がっただけです。決して、予防効果があるとは言われていませんので、お間違えなく!(大阪府知事は、医療従事者や飲食店、接客業の方は使用するように!みたいなことを言っていたが。。)

本当に正しい陽性率が測定できる?

PCR検査は喉の粘液や痰を採取して測定します。その喉をイソジンで殺菌洗浄することで正しい陽性率が測定できるものなのでしょうか?例えをだすなら、「今からPCR検査をしますので、一度このイソジンでうがいして下さい。PCR検査を実施➡︎陰性ですね!」

「いやおかしいでしょ!」てなりません?

※厳密には、今回の研究結果はPCR検査を朝一に行なったようで、検査前にうがいをするということはなかったそうです。しかし、もし仮にイソジンに一時的にコロナの陰性力があったとするなら、今後偽陰性(本当は陽性なのに陰性)の患者が増えていく可能性もあるのではないでしょうか?

うがい自体に効果があった可能性も!

今回の研究結果を見ると、「イソジンでうがいした人」と「水だけでうがいした人」を比較したデータはありません。ということは、イソジンのうがいに効果があったのではなく、うがいそのものに何からしらの効果があった可能性もあるでしょう。

薬剤師はイソジンを使わない

f:id:huji7:20200807080632j:plain

正直な話、多くの薬剤師はイソジンの使用をおすすめしないでしょう。

それどころか、日常的にイソジンを使用している薬剤師は、ほとんどいないと思われます。理由は2つあります。

理由① 水うがいの方が効果的

イソジンを使用してうがいするよりも、水だけでうがいする方が効果的だとする衝撃的な研究結果が存在します。

18~65歳の約380名を対象に、「水でうがい」、「ヨウ素系うがい薬でうがい」、「何もしない」の3群に分け、2カ月間調査。

結果、「水でうがい」は、「何もしない」に比べて、かぜの発症が40%減り、うがいのかぜ予防効果が実証された。

一方、「ヨウ素系うがい薬でうがい」では、12%の低下にとどまり、「何もしない」との統計学的の差はなく、意味のある抑制効果は認められなかった。

参考文献:「うがいによる風邪の予防効果」 Medical Practice, 23(8):1460-1461,2006.

「水うがいで風邪発症が4割減少」京都大学環境安全保健機構

ヨウ素系うがい薬(つまりはイソジン)の効果がでなかった原因としては、ヨウ素系うがい薬により正常細菌のバランスを崩し、逆に風邪ウイルスの侵入を許してしまった可能性があるとされています。

理由② ヨウ素の過剰摂取は注意

イソジンの有効成分は、ポピドンヨードという重化合物です。このポピドンヨードは、ヨウ素とポピドンの複合体なのですが、このヨウ素が中々の曲者です。

ヨウ素は海藻や魚介類にも含まれ、普通に摂取していれば何も問題はなく、むしろ人間の体には必須のミネラル成分です。

しかし、ヨウ素の取り過ぎは禁物です。

以下、大きく注意点を2つ記載します。

妊婦や授乳婦は注意!

イソジンがコロナウイルスに効こうが、効くまいが、妊婦や授乳婦はイソジンの使用を絶対におすすめしません。

妊娠や授乳婦がヨウ素を過剰に摂取すると、胎盤や母乳を介して子供へ移行し、子供の甲状腺機能が低下する可能性があります。

一度や二度使ったところですぐどうこうなることは、ありませんが、毎日の使用ともなれば別です。

そしてなぜ吉村知事は、こんな大事なことを会見で言わなかったのだろうか。

甲状腺癌リスクを上げる可能性あり 

イソジンと甲状腺癌の相互関係は不明ですが、ヨウ素が多く含まれる海藻を多く摂取している人は、甲状腺癌になる可能性が高いとの研究結果が存在します。(厳密にはヨウ素と甲状腺癌ではなく、海藻と甲状腺癌の関係が示唆されています。※特に閉経後の女性)あくまでも可能性で、ヨウ素自体は必須のミネラル成分だということは忘れずにお願いします。

調査開始時に行った食事摂取頻度に関する質問への回答から、週2日以下、週3~4日、ほとんど毎日という3つのグループに分けて、その後の甲状腺がんの発生率を比較しました。約14年間の追跡期間中に、女性134名が甲状腺がん(うち、113症例は乳頭がん)になりました。

まず海藻摂取と全甲状腺がん発生との関連を調べたところ(図1)、海藻食べる頻度が多い人ほど甲状腺がんになりやすい傾向を認めました。甲状腺がんの中でも、乳頭がんに絞って解析したところ、週2日以下しか海藻を食べない女性と比べて、ほとんど毎日海藻を食べる女性で、統計学的に有意に甲状腺がんリスクが高くなっていました。

さらに我々は、甲状腺がんの発生には、女性ホルモン(エストロゲン)の関与が指摘されていることから、エストロゲン濃度が大きく異なる閉経前と閉経後の女性に分けて、海藻摂取と甲状腺がんの発生の関連を解析しました(図2)。すると、閉経前の女性では、海藻摂取と甲状腺がんリスクに関連を認めなかったのに対して、閉経後の女性では、海藻の摂取頻度が多い女性ほど甲状腺がんになりやすいという結果を得ました。

引用元:「海藻摂取と甲状腺がん発生との関連について」国立がん研究センター

最後に 

今回はここまで。

新しい情報がで次第、色々と追記していきます。ではまた。