ヤクペディア

お薬や薬剤師の様々な疑問を解決していく百科事典ブログです

ベオーバ が長期処方解禁!ベオーバとベタニスの違いとは?【比較】

f:id:huji7:20200224133709j:plain

2019年12月、

β3受容体作動薬であるベオーバ錠の長期処方がついに解禁となりました。

このベオーバ、過活動膀胱治療において今や多くの泌尿器科医から第一選択薬として推奨されている注目薬剤なのです。

ベオーバを解説する上ではずせないのが、

同じくβ3受容体作動薬であるベタニスとの違いです。

今回は、ベオーバとベタニスの違いについて徹底解説していきたいと思います。

過活動膀胱とは?

まずは過活動膀胱の病態から薬物治療まで、基本情報を整理していきます。

症状は?

f:id:huji7:20200224112229j:plain

主に3つの症状があると言われています。 

① 頻尿

日中8回以上トイレに行くことを頻尿、夜間に1回以上トイレに行くことを夜間頻尿と言います。

② 尿意切迫感

急に尿意を催し、トイレに行くのが我慢できなくなります。

③ 尿失禁

尿意切迫感だけでなく、トイレに行くまでに尿が漏れてしまうこともあります。 

原因は?

過活動膀胱の原因は、主に2つに分類されます。

① 神経因性

脳と膀胱を結ぶ神経に障害が起こることで、意図に反して尿意が起こります。

主に、脳血管障害脳梗塞脳卒中)やパーキンソン病脊髄損傷などの後遺症により起こることが多いです。

② 非神経因性

神経性以外で、尿意が起こります。

男性の前立腺肥大女性の骨盤底筋障害などにより起こると言われていますが、ほとんどは原因がわからないことが多いです。

患者数は?

40歳以上の男女で8人に1人(約12%)、数にするとおよそ800万人は、過活動膀胱の症状があると言われています。 

明日は我が身です。。 

過活動膀胱の治療薬は?

治療薬は主に2つ存在します。

① 抗コリン薬(ウリトス、ベシケア、デトルシトール、バップフォー、ステーブラ)

膀胱の異常収縮に関わるアセチルコリンを抑えることで、症状を抑えます。

古くから過活動膀胱の治療薬として使用されていますが、懸念点として便秘や口渇などの副作用や抗コリン作用による急性緑内障発作や尿閉などが考えられます。 

② β3受容体作動薬(ベタニス、ベオーバ)

膀胱は、排尿筋という筋組織に覆われています。

f:id:huji7:20200222214116p:plain

この排尿筋にはβ3受容体が存在しており、膀胱の収縮と弛緩に関与しています。

このβ3受容体を刺激することで排尿筋が弛緩し、膀胱の容量が大きくなります。

f:id:huji7:20200224180643p:plain

ベオーバとは?

ベオーバは、ベタニスにつぐ2番目に発売されたβ3受容体作動薬で2018年11月に発売が開始され、1年後の2019年12月から長期処方が解禁となりました。

では一体、ベオーバとベタニスで何が違うのでしょうか? 

ベオーバとベタニスの違いは?

結論から言います。

ベオーバは副作用、相互作用が少なくベタニスより使いやすい薬です。

どういうことなのか?

そもそもベタニスは、2011年に発売された世界初のβ3受容体作動薬で、当初は抗コリン薬に変わる過活動膀胱治療薬になると考えられていました。

しかし、ベタニスには大きな2つの欠点があったのです。

ベタニスの欠点とは?

大きな副作用に注意が必要

頻度は多くありませんが、ベタニスの大きな副作用として、血圧上昇脈拍数の増加などが起こる可能性があります。そのため、重篤な心疾患患者には禁忌薬であり、高血圧を治療中の患者も注意が必要となります。

併用注意薬が多い

ベタニスは、CYP3A4により代謝され、CYP2D6を阻害するためCYPに関わる薬物との相互作用が非常に多いです。

そして、この2つの欠点を克服した薬剤が「ベオーバ」というわけです。

ではベオーバとベタニス2つの違いを詳しく見ていきましょう!

規格の違い

f:id:huji7:20200222211649p:plain

ベタニス25mgは、肝・腎機能が低下している患者に処方する規格であり、通常は50mgを使用します。

一方、ベオーバは肝・腎機能が低下している患者にも同じ規格を投与できます。

薬価の違い

f:id:huji7:20200222211701p:plain

ベオーバは新薬ですが比較的安価な薬です。

先程も記載したようにベタニス25mgは肝・腎機能が低下している患者に投与するための規格であり、通常は50mgが処方されます。

つまり通常使用では、ベオーバとベタニスで値段の差はほとんどないと言えるでしょう。

用法の違い

f:id:huji7:20200222211718p:plain

用法はどちらも1日1回で同じです。

相互作用の違い

f:id:huji7:20200222211729p:plain

ベオーバの代謝にはCYPが関わることなく、主にグルクロン酸抱合で代謝されます。そのため、ベオーバは相互作用が少なく、併用禁忌薬も存在しません。

一方、ベタニスは先ほども記載したようにCYP3A4で代謝され、CYP2D6を阻害するため、相互作用が非常に多く、併用禁忌薬も存在します。

添付文書を見れば、違いは明らかです。

f:id:huji7:20200224122916p:plain

引用元:ベオーバ錠 添付文書

f:id:huji7:20200224122802p:plain

引用元:ベタニス錠 添付文書

副作用の違い

f:id:huji7:20200222211846p:plain

添付文書を見ると、ベタニスは血圧上昇脈拍数増加以外にも肝臓・腎臓系の副作用がベオーバよりも多いことがわかります。

f:id:huji7:20200224115828p:plain

引用元:ベオーバ錠 添付文書

f:id:huji7:20200224115719p:plain

引用元:ベタニス錠 添付文書

禁忌の違い

f:id:huji7:20200224174632p:plain

ベオーバの禁忌は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」のみであり、事実上ベオーバの禁忌は存在しないということです。

対して、ベタニスの禁忌は「重篤な心疾患を有する患者」「妊婦・授乳婦」「重度の肝機能障害患者」と使用できないケースが比較的多いです。

効果の違い

ベオーバの方がベタニスよりも相互作用、副作用が少ないからと言って、効果が低いようでは意味がありません。気になる効果の違いはどうなのでしょうか?

以下は、ベオーバとベタニスの国内第3相二重盲検比較試験のデータをまとめたものです。

f:id:huji7:20200222233323p:plain

患者背景が異なり、直接比較したデータではないため、どちらの方が強いということは言えません。

しかし、上記データを見るかぎりでは、どちらも同じような効果がでていると言えるでしょう。直接比較のデータは、見つけ次第追記します。

ベオーバとベタニスの違い・まとめ

f:id:huji7:20200224174044p:plain

いかがでしたか?

今回の記事でベオーバは、ベタニスよりも多くの面で優れている薬だとわかっていただけたと思います。

しかし1つ懸念点として、ベオーバはベタニスよりも販売の歴史が浅いということです。

今後さらに長期的に使用した際、どのような報告があるかに注目する必要があります。

f:id:huji7:20191127005513j:plain

新たな情報がでましたら追記します。

ではまた。