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SGLT2の選択性は高い方が良いの?SGLT1とSGLT2の違いを徹底解説するよ!

今回は、SGLT2阻害薬の使い分けについて話していきます。

SGLT2阻害薬は6成分7種類の薬が存在します。

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この7種類の薬は、SGLT2の選択性がそれぞれ異なります。

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ここでよく論争になるのが、

SGLT2の選択性は高い方が良いのか?

ということ。

いきなり結論から言います。

SGLT2の選択性は高い方が良いでしょう!(個人的見解)

一体なぜなのなのか?

今回は、SGLT1とSGLT2の選択性の違いについて徹底解説していきたいと思います。これをしっかり理解すれば、「SGLT2阻害薬の使い分け」をより理解することができるでしょう。

※今回の記事は下記記事からの派生記事です。

www.yakupedia.com

それではいってみよう!

そもそもSGLTとは何なのか?

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SGLTとは、sodium glucose transporter の略。

日本語名は、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」。

一体なんぞや?

ざっくりSGLTの働きを説明すると、

ナトリウムの力を使って、グルコース(糖)を取り込む働きをしています。

ではSGLT1とSGLT2の違いは何なのか?

ずばり、存在する場所が異なります!

SGLT1が存在する場所

主に腸管、心臓、骨格筋などに多く存在し、腎臓にはほとんど存在しません。

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SGLT2が存在する場所

腎臓のみに多く存在します。

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※上記グラフは「Quantitative PCR Tissue Expression Profiling of the Human SGLT2 Gene and Related Family Members」から作成 

SGLT1の選択性(阻害)が強いとどうなるの?

SGLT1を選択的に阻害するメリット

食後血糖値を下げる効果が高い可能性があります。

回腸、つまりは小腸に多く存在するSGLT1を阻害することで、腸管からの糖吸収を抑制し食後血糖の上昇を抑えるというメカニズムです。つまりは、αグルコシダーゼ阻害薬と似たような効果があるということです。

また、海外の論文ではカナグル(カナグリフロジン)とフォシーガ(ダパグリフロジン)で食後の血糖上昇に対する効果を比較したデータがあります。

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引用元:Diabetes Frontier Vol.26 No.3 2015-6「CGMからみた糖尿病診療の新たなる展開〜SGLT2阻害薬の可能性〜」

この比較データによると、カナグル(カナグリフロジン)の方がフォシーガ(ダパグリフロジン)よりも食後血糖値を下げる効果が高いことがわかります。

「実はカナグルの方がSGLT2の阻害効果が強いのでは?」と思ってしまう方もいると思われますが、次のデータをみて下さい。

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引用元:Diabetes Frontier Vol.26 No.3 2015-6「CGMからみた糖尿病診療の新たなる展開〜SGLT2阻害薬の可能性〜」 

上記データによると、食後血糖を下げている時間帯(1〜2時間)は尿糖排泄量がほぼ同じ数値を示しています。

つまり食後血糖を下げる効果は、SGLT1の阻害を介していた可能性が高いということです。

しかし!

鋭い方ならもう気がついているでしょう。

上記のデータをよく見ると、カナグル(カナグリフロジン)は300mgが使用されているのです!

海外で使用されているカナグルは100mgと300mgの2つの規格がありますが、日本で使用されているカナグルは100mgの1つだけです。

そのため、上記の比較データが日本人にも適用するかは不確定なところです。

実際、海外の論文ではカナグル錠150mg以下は腸管への影響はないとするデータもあります。

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引用元:Canagliflozin, a sodium glucose co-transporter 2 inhibitor, reduces post-meal glucose excursion in patients with type 2 diabetes by a non-renal mechanism: results of a randomized trial.

しかしこれも海外の臨床データであり、もしかすると日本人にはカナグル錠150mg以下でも腸管へ影響するかもしれません。

つまり!

二転三転しましたが、

SGLT1阻害作用が少しあるSGLT2阻害薬は、食後血糖値を下げる効果が高い可能性はあるが、日本でのエビデンスは不確定ということ。

「あくまでも補助効果」という程度に捉えておきましょう。

SGLT1を選択的に阻害するデメリット

SGLT1は腎臓以外の多くの臓器に存在しているため、下痢などの消化器症状や心臓、骨格筋にも悪影響を及ぼす可能性があります。

SGLT2阻害薬は、SGLT2の阻害がメインであるため、過度な心配をする必要はないと思われますが、実際にカナグルは、骨折、下肢切断リスクが上昇したというデータ(CANVAS PROGRAM)も発表されています。※SGLT1阻害を介したことによる結果なのかは今のところ不明。

今後さらに長期的に使用された際、どのようなリスクがでてくるのかを見ていく必要があると思われます。 

SGLT2の選択性が強いということは?

SGLT2を選択的に阻害するメリット

SGLT2は腎臓に特異的に存在しているため、SGLT1を阻害した時のような他臓器への副作用を心配する必要がないでしょう。

SGLT1、SGLT2選択性まとめ

SGLT1の選択性も高い薬 スーグラ 、カナグル

食後血糖を下げる効果が高い可能性。ただ、スーグラ 、カナグルもSGLT2阻害がメインであるため、あくまでも補助効果

また、長期使用では腎臓以外への副作用(下痢、虚血性心疾患、骨格筋への影響など)に注意が必要。

SGLT2選択性が高い薬 ジャディアンス、アプルウェイ、デベルザ、ルセフィ、フォシーガ

余計な副作用は心配せず使いやすい。

最後に

SGLT1選択性のメリットはエビデンスが不確定です。

そのため、現状では

SGLT2の選択性が高い方が良い薬(使いやすい薬)

と言っても過言ではないでしょう。

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新しい情報があれば追記します。

再度となりますが、

こちらの記事でSGLT2阻害薬の使い分けを徹底解説しています!

www.yakupedia.com

ではまた。