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クレナフィンとルコナックの違いは?効果や薬価、使用方法を徹底比較して、どちらが良い薬か検証してみた!

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 2019年に「皮膚真菌症の診療ガイドライン」が10年ぶりに改定されました。

今回の改定で大きく変更があったのが「爪白癬の治療」です。

10年前、爪白癬を治療するためには内服薬を飲む治療法しかありませんでした。

しかしその内服薬も肝臓に負担がかかったり、相互作用がとても多かったりと高齢者には使用しにくいのが難点でした。

そして10年の時を経て、爪白癬の治療ガイドラインに画期的な3種類の薬が追加されたのです。

外用薬のクレナフィンとルコナック。そして内服薬のネイリンカプセルです。

3種類の中でも今回ピックアップしたいのが、

外用薬のクレナフィンルコナック

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「爪白癬」の適応がある外用薬は、現在日本にこの2種類しかありません。

ではこの両者。

どう違うのでしょうか?

今回はクレナフィンとルコナックの効果や薬価、使用方法の違いなどを徹底比較して、どちらが良い薬なのか検証していきたいと思います!

用法の違いは?

クレナフィン:1日1回

 ルコナック:1日1回

用法はどちらも同じです。

薬価の違いは?

クレナフィン:5669円(1本あたり)

 ルコナック:3263円(1本あたり)

1本あたりの金額差は、2406円。

クレナフィンは、ルコナックの約2倍の値段です!

患者さんが支払う金額は、この値段の3割or1割ですが、爪白癬の治療は長くかかるため、治療終了までの合計負担額にはかなり差がでてしまうでしょう。

副作用の違いは?  (添付文書を参照)

クレナフィン:184例中、17例(9.2%)で副作用を発症。

 ルコナック:242例中、44例(18.2%)で副作用を発症。

どちらの薬も主な副作用は皮膚炎です。

添付文書上のデータを基に比較すると、

ルコナックの方が副作用が起こる可能性が高いようです。

しかし、この結果は薬の成分が原因ではなく、薬の先端部分の形が影響している可能性が高いと思われます。(詳しくは後述)

効果の違いは?

では、一番気になる効果の違いです。

比較データ①(論文)

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引用元:ルリコナゾールの白癬菌に対する in vitro 抗真菌活性-MICおよびMFCの同時測定による既存外用抗真菌薬との比較試験- 

 この論文によると、ルコナック(ルリコナゾール)は、クレナフィン(エフィコナゾール)よりも抗真菌活性が強いことがわかります。

比較データ②(佐藤製薬からいただいた製品資料)

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一見なんの写真かわかりませんが、

これは爪をスライスして薬がどれだけ浸透しているかを検査したデータです。

上がルコナック

下がクレナフィンです。

クレナフィンのデータをみると、真ん中あたりの写真が灰色になっているのがわかると思います。これは爪の中間層には薬が浸透していないということです。

つまり、

クレナフィンは、爪の中間層に真菌が感染してる場合は効果が低い可能性

があると思われます。

なぜクレナフィンは爪の中間層に薬がはいらない?

クレナフィンは、ケラチンへの吸着率をあえて低くすることで、爪床(爪の深部)に届きやすいよう設計してあります。

つまりクレナフィンは、爪の中間層を貫通してしまう可能性があるということ。

なぜそんな設計にしてあるかというと、

爪白癬は爪床へ真菌感染している症例が一番多いからです。しかし、現実的に爪の中間層に真菌感染している症例も多くはないですが存在します。

それならルコナックの方が良い薬?

と思ってしまいがちですが、

事はそんなに単純ではありません。

皮膚科医の中には、両者とも処方したところ、クレナフィンの方が効果があると感じ、クレナフィンのみ使用している医師もいるそうです。

なぜそんなことが起こるのか?

それはクレナフィンにもメリットがあるからです。

クレナフィンのメリットとは?

すばり、

クレナフィンは先端が筆のようになっているので、爪に塗りやすいのです!

では、それぞれの先端の違いをみていきましょう。

先端の違いは? 

クレナフィンの先端

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クレナフィンは、先端が筆のようになっているマニキュアタイプです。

この筆のような形は唯一無二。

とても爪に塗りやすい画期的な形状と言えるでしょう。

ルコナックの先端

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ルコナックは、爪に押し当てて使うタイプ。

正直これは使いにくい。。爪以外に薬がふれてしまうことも多いと思われます。ルコナックの方がクレナフィンよりも副作用頻度が高い理由は、この先端部分の形が影響している可能性が高いと思われます。

どちらの方が流通している?

クレナフィンとルコナック、実際どちらの処方が多く出回っているのでしょうか?

医療用医薬品 国内売上高ランキングによると

answers.ten-navi.com

今のところ、圧倒的にクレナフィンが多く処方されているみたいです。

2018年クレナフィンの売上高は、ランキング52位で226億円。

ルコナックはクレナフィンの半値であるため、100億ほど売上があれば同等の本数が処方されていることになりますが、残念ながらルコナックは圏外で50億円以下の売上みたいです。(※ルコナックが実際いくら売上があるかは不明)

クレナフィンの方がルコナックよりも少し早く発売されたこと、そしてやはり使いやすさの点もあるため、クレナフィンの方が多く処方されていると思われます。

まとめ 結局どちらが良い薬?

クレナフィンとルコナックの違い・まとめ

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どちらの薬にもメリット、デメリットがあり、

「どちらの方が良い薬!」というのは一概には言えないのがわかると思います。

ポイントは、患者さんの症状、年齢によって使い分けること! 

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クレナフィン、ルコナックの使い分けフローチャート 

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中間層にも真菌が感染している可能性がある場合は、ルコナック。

それ以外は、使い方に不安がある場合や薬の値段、皮膚炎の副作用がでた場合などで使い分けていくのが良いでしょう。

クレナフィンとルコナックの使い分けについて、少しでも今後の業務の手助けになってもらえたら幸いです。

ではまた。