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日数制限のある向精神薬は、年末年始やお盆休みに長期処方可能なのか?【まとめ】

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毎年、年末お盆休み前になると必ず1度は当たるのが、

日数制限がある薬の長期処方問題です。

特に多いのが、向精神薬

その中でも眠剤です。

眠剤は毎日欠かさず飲まないと眠れない!」と言う方も多く、長期休み前に来局されて「日数延長できないの?」なんて患者さんから言われると困ってしまいますよね。

さてどうしたら良いのか?そもそも延長可能だっけ?

今回は、長期休み前の日数制限薬・延長問題について詳しく解説していきます。

日数制限がある向精神薬とは? 

14日、30日の日数制限薬一覧を載せておきます。

<14日制限の薬> ※一般名アイウエオ順

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<30日制限の薬> ※一般名アイウエオ順

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日数制限がある薬は、長期処方が可能なのか?

さて、いきなり本題です!

結論からいうと、

可能です。

しかし!

以下のルールがあります。

14日制限の薬➡︎30日まで延長可能

30日制限の薬➡︎延長不可

つまり!

どんな状況!

どんな薬であれ!

日数制限がある薬は、30日以上処方ができないということ。

よくやってしまいがちな、

レセプトコメントに「長期休暇のため、日数延長」みたいな文言だけいれて、日数を30日以上に延長することは認められていません!

1つだけ例外あり!

先程、どんな状況であれ日数制限がある薬は30日以上は処方ができないと言ったばかりですが、1つだけ例外があります。

それは、

船員保険を持っている方

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つまり船乗りです。

船員保険を持っている方は、原則180日まで延長可能となっています。

ちなみに私はこの超特例ケースにまだ一度も遭遇したことはありません。

頓用にすれば多く処方できるのでは?

よく考えるのが、

頓用にすれば日数制限がある薬も多くだせるのでは?ということ。

例えば、

Rp1) マイスリー5mg 1T分1 就寝前 30日分

Rp2) マイスリー5mg 1T 不眠時 10回分

というような処方。

これなら全部で40日分処方できることになります。

これが

ありなのか?

なしなのか?

ということ。

実際のところ、

なしです。(※どこかに明記されているわけではなく、個人の見解含む)

なぜ頓用による長期処方が駄目だと考えるか?

今回は、5つの理由にまとめてみました!

① 支払い基金に確認したところ不可

電話で確認したところ、「レセプトで切られます」としっかり言われました。

② 製薬会社に確認したところ不可

まぁ製薬会社は基本、少しでも良くないと思ったら

「やめといた方がいいです」

「責任は持てません」とかいう。

③ そもそも頓用がOKなら長期処方が不可わけない

そもそもこの屯用処方がOKなら、長期処方のルールがもう少し緩いはずです。

「年末など長期の休みの時はレセプトコメントいれておけばOK」とか。

しかしそれが許されないということは、国は少しでも日数制限薬を厳しく管理していきますよ!ということ。

広島県薬剤師会では不可としている

広島県薬剤師会では禁止しているようです。

医師や歯科医師など他職種にも注意を促しています。

        広島県薬剤師会からのお願い

【処方日数】

向精神薬など投与日数に制限のある薬剤を「頓服」と併用して処方される場合(他の薬を35日分処方、向精神薬30日、同薬頓服5回分など)があるが「頓服」で別出ししても制限以上の長期処方とみなされます。

引用;広島県医師会速報(第2124号)より抜粋http://www.hiroshima.med.or.jp/ishi/docs/0705/2124_014.pdf

 

向精神薬の規制は年々厳しくなっている

2018年度の診療報酬改定で、向精神薬を長期間処方(12ヶ月以上)すると病院の処方料が減点されるようになってしまいました。 また、重複して向精神薬睡眠薬が処方されても処方料、薬剤料が減点されてしまいます。

それだけ向精神薬に対して厳しく国の規制が厳しくなっているということ!

「今までは頓用で問題なくレセプト通ってたから大丈夫!」は安易な考えです。

ではどうすれば良いか?対処法は?

とはいいつつも、「睡眠薬がないとどうしても眠れない。薬がないと困る!」なんて方もいると思います。ここで対処法を3つご紹介します。

① これを機に眠剤をやめるor量を減らしてもらう努力を!

眠剤は血圧の薬や糖尿病薬と違い、絶対に飲む必要がある薬ではありません。

飲まないに越したことはない!

これをまずは理解してもらうことです。

現実的な手段としては、

・一度試しに飲まないで過ごしてもらう

・半錠にして渡し、量を少なくして試してもらう

② 長期休暇直前に追加処方してもらう

①を一度試してもらい、「どうしても眠れない、薬が必要だ!」という方はしょうがないでしょう。もう一度受診し、追加処方してもらいましょう。

注)処方後すぐの再受診は、日数が近いためレセプトで切られる可能性あり!

③ 他の種類の眠剤を追加頓用してもらう

「頓用処方と同じでは!?」 と思われるかもしれませんが、

日数制限がない眠剤も世の中には存在します!

さらに薬学的な理由が加われば完璧でしょう!

例えば、以下のような処方がでていたとします。

<定期処方>

Rp1) ハルシオン0.25mg 1T分1就寝前 30日分

  ⬇︎

<長期休み前の処方>

Rp1) ハルシオン0.25mg 1T分1就寝前 30日分

Rp2) ネスタ1mg 1T 不眠時 10回分

お分かりでしょうか?

ネスタマイスリーなどと同じく非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬でありながら、向精神薬の枠組みから外れている普通薬です。

さらに、ルネスタを頓用処方することで、ベンゾジアゼピン系のハルシオン」から「非ベンゾジアゼピン系のルネスタ」に切り替えたいよ!という処方意図にもみられます。

また、レセプトコメントで「非ベンゾジアゼピン系のルネスタへ切り替え予定のため頓用にて追加処方」などとコメントいれておけばさらに完璧でしょう

ネスタ以外にも、

向精神薬の枠組みから外れているベルソムラを頓用することも有効です。

※ベルソムラは、併用禁忌がとても多い薬なので使用には注意が必要。

最後に

最後に1つ重要なことを言います。

患者さんとしっかり話し、納得してもらうこと!

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向精神薬はなんで日数制限がある薬なのか?」

「なんで飲まない方が良いのか?」

などを患者さんにしっかり話し、納得してもらうことが重要です。

向精神薬の適正使用は薬剤師の使命でもありますよ!

ではまた。