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コンタクトレンズ装着時でも使用できる目薬とは?【防腐剤に工夫がしてある目薬一覧】

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今日もいつも通り業務をしていると、患者さんからこんなことを聞かれました。

コンタクトレンズをしているのだけど、この目薬はレンズをしたまま使っても大丈夫?医者からは大丈夫と言われたけど心配になっちゃって」

処方はこちらです。

ヒアレイン点眼0.1%

※患者さんは、使い捨てではないソフトレンズを使用中。目のカーブの関係もあり、特注のソフトレンズを使用しているとのことでした。

目薬を投薬する際、よく聞かれるのがこの

コンタクトレンズしたまま目薬使っていいの?」

という質問です。

こちらの記事でも書いたように、コンタクトレンズ装着時に目薬を上からさすことは基本駄目です!

www.yakupedia.com

しかし!

コンタクトレンズを装着していても、使用できる目薬は世の中に存在します!

それではいってみよう。

そもそもなぜ、コンタクトレンズの上から目薬をさしては駄目とよく言われているのでしょうか?

まずは基本から整理していきます!

なぜコンタクト装着時は目薬を上からさしては駄目なの?

目薬の多くには、塩化ベンザルコニウムという防腐剤が含まれています。

塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chlorride)

俗に言う、BAK(バック)と言われるものです。

※BACという説もあります。

この塩化ベンザルコニウムは、コンタクトレンズに吸着しやすく、目との接触時間が長いと角膜障害を起こすことがあります。

そのため一般的には、「コンタクトレンズをはずしてから目薬をさして下さい」と言われているのです。

それでは、冒頭の患者さんからの質問を解決していきましょう!

ソフトレンズを装着時に、ヒアレイン点眼は使える?

答えはずばり、

使える!

です。

ヒアレイン点眼は、コンタクトレンズ使用者でも使いやすいよう防腐剤に工夫がしてあるのです。

ヒアレイン点眼の防腐剤は、クロルヘキシジングルコン酸塩です。

ヒアレイン点眼は、2018年に防腐剤を塩化ベンザルコニウムからクロルヘキシジングルコン酸塩へ変更。

ここで1つの疑問が浮上です。

クロルヘキシジングルコン酸塩は安全なの?

クロルヘキシジングルコン酸塩は、塩化ベンザルコニウムよりも角膜障害性が低い防腐剤です。

こちらの論文を参考にさせていただきました。

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引用)「ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の培養家兎角膜細胞に対する障害性」

この論文によると、角膜への障害性は

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とのこと。

さらに!

クロルヘキシジングルコン酸塩が防腐剤の点眼薬は、角膜障害性がほとんどないと報告されています。

※上記論文は、非臨床試験(うさぎの角膜)の結果となります。臨床試験(人を対象としたもの)で防腐剤を比較した文献、報告は存在しません。

※上記論文は、2006年頃に掲載されたものであり、この頃のヒアレイン点眼は防腐剤に塩化ベンザルコニウムが使用されています。ヒアレイン点眼は、2018年に防腐剤をクロルヘキシジングルコン酸塩に変更しています。同じくアイケア点眼も論文がでた頃は、防腐剤に塩化ベンゼトニウムを使用してましたが、現在はクロルヘキシジングルコン酸塩が防腐剤として使用されています。

ここまでで、

ヒアレイン点眼などクロルヘキシジングルコン酸塩が防腐剤として使用されている目薬は、安全に使用できることがわかったと思います。

しかし!

ここでまたまた1つの疑問です。

防腐剤がコンタクトレンズに影響を及ぼすことはないの?

実際に今回相談があった患者さんも、特注のソフトレンズを使用しているとのことで、レンズへの影響がないのか心配されてました。

・レンズのカーブ変わったりしない?

・レンズの厚さ変わったりしない?

というような疑問です。

メーカー(参天製薬)に電話して聞いてみました!

結論から言うと、

ヒアレイン点眼は、コンタクトレンズへ影響を及ぼすことはない!

参天製薬によるとコンタクトレンズの上からヒアレイン点眼を何滴も滴下し、レンズに影響はあるのかを試験したとのことです。

結果、

・外観

・直径

・ベースカーブ

・光を屈折させる力

・中心厚

5つの項目は全て影響がなかったとのこと。

※社内資料のため、文献はなし。資料は持ち出し不可。

ヒアレイン点眼が大丈夫であれば、クロルヘキシジングルコン酸塩が防腐剤の目薬はとりあえず大丈夫と考えてもいいですかね?

けれどこればかりは防腐剤以外の添加物が影響することも考えられるし。。

考えだすときりがない!!

特注のコンタクトレンズを使用している方で、レンズへの影響が心配ならはずして点眼しましょう!(ヒアレイン点眼は除く)

と言うのも、こんな文献があります。

ホウ酸を配合した人工涙液が角膜とコンタクトレンズ(CL)に及ぼす影響を調べるために、1施 設で無作為、二重盲検法による臨床試験を実施しました。CL 上の涙液厚(PLTF; prelens tear film)、CL 中心厚、CL 下の涙液厚(PoLTF; postlens tear film)および CL の動きを測定しました。 含水率 58%、イオン性のソフト CL を被験者に装用後、対照値として CL の動きと干渉法による測 定(PLTF、CL 中心厚、PoLTF)を行いました。そして、低濃度(0.64%)あるいは高濃度(1.34%)の ホウ酸配合人工涙液のどちらかを無作為に選択し、両眼に点眼後、直ちに CL の動きと干渉法に よる各種厚みを測定しました。2 時間放置期間(眼鏡装着)の後に、被験者に他の点眼液を試験し ました。 その結果、点眼のみにて CL の動きに顕著な減少(およそ 0.45mm)が見られましたが、それは 人工涙液の種類には依存しませんでした。また、点眼により PLTF の増加(0.14µm)が見られたも のの、これもまた人工涙液の種類に依存しませんでした。どちらの人工涙液の点眼においても、 CL 中心厚は増加(低濃度ホウ酸配合人工涙液の場合:0.31µm、高濃度ホウ酸配合人工涙液の 場合:1.13µm)しました。PoLTF については、どちらの人工涙液の点眼においても顕著な減少が 見られ、低濃度ホウ酸配合人工涙液の場合 0.28µm、高濃度ホウ酸配合の場合には 0.73µm の 減少が見られました。以上より、ホウ酸を配合する人工涙液の点眼により、CL の動きが極端に悪 くなると同時に、CL 中心厚の増加や PoLTF の減少を招くことが確認できました。特に高濃度にホ ウ酸を含む人工涙液の場合にはより顕著に CL 中心厚の増加と、PoLTF の減少を招くことが確認 されました。

引用)メニコンHP https://www.menicon.co.jp/whats/research/pdf/research05.pdf

こちらは、コンタクトレンズ総合メーカーであるメニコンがだしている文献です。

比較的安全な防腐剤として扱われている「ホウ酸」での試験ですが、この文献によるとレンズへの影響はあるとのこと。

中々むずかしい。

比較的安全な防腐剤を使っている目薬は何がある?

防腐剤が塩化ベンザルコニウムではなく、比較的安全な防腐剤を使っている薬。

代表的な薬を列挙してみました!

比較的安全な防腐剤が使用されている目薬一覧 ※アイウエオ順

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ヒアレインミニ点眼など防腐剤フリーの1回使いきりタイプは除く

最後に

今回はヒアレイン点眼など防腐剤が工夫されている目薬は、コンタクトレンズ装着時でも安全に使えるよ!という話しでした。

しかし!

コンタクトレンズをはずして目薬を使用するのがベスト!」

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これが土台である事は常に念頭に置いておきましょう。

と言うのも、

・クロルヘキシジングルコン酸塩が安全な防腐剤であるという臨床試験データは存在しないこと。

・コンタクトも常に進化し、変化していくもの。そして現在、とても多くのレンズが世の中に存在しており、全てのレンズで薬の影響がないとは言い切れないこと。

よって!

患者さんの年齢、生活習慣、コンプライアンスなどを考慮し何がこの患者さんにとって最適な投薬なのかを常に考える事が重要だと思います!

ではまた。