目薬が2種類以上処方された時、患者さんからよく聞かれるのが
「どちらを先にさしたらいいですか?」
という質問です。
そこまでこだわらなくていい!
と言う薬剤師さんもいると思いますが、より良い投薬をするためには使用する順番をしっかり把握しておいた方が良いでしょう。
点眼薬には、使用する順番を決めるためにいくつかのルールが存在します。
今回は、順番を決めるためのルールを全てまとめてみました!
それでは早速いきましょう。
- ルール❶ 水溶性➡︎懸濁性➡︎ゲル化➡︎眼軟膏の順番
- ルール❷ 重要な薬は後ろにまわす
- 例外ルール❶ カリーユニはどの目薬よりも先に使用する
- 例外ルール❷ 角膜保護薬は一番後ろにまわす
- 点眼薬の間隔はどれぐらい空ける?
- 最後に
ルール❶ 水溶性➡︎懸濁性➡︎ゲル化➡︎眼軟膏の順番
水溶性点眼➡︎懸濁性点眼➡︎ゲル化点眼➡︎眼軟膏の順で使用する。
これが一番根本となるルールです。
それぞれどんな薬が該当するのか簡単に紹介していきます。
水溶性点眼
・クラビット点眼
・ヒアレイン点眼
・ジクアス点眼
・アレジオン点眼
・他多数...
存在する目薬の8割〜9割はこの水溶性点眼に該当します。
懸濁性点眼
・カリーユニ点眼
・オドメール点眼
・フルメトロン点眼
・エイゾプト点眼
・他...
水に溶けにくい懸濁性点眼は吸収が悪い目薬です。
ゲル化点眼
・チモプトールXE点眼
・リズモンTG点眼
・他...
点眼後ゲル化するため、懸濁性点眼よりも吸収が悪い目薬です。
眼軟膏
・プレドニン眼軟膏
・リンデロンA
・フラビタン眼軟膏
・エコリシン眼軟膏
・他...
ルール❷ 重要な薬は後ろにまわす
気分的には、重要な薬ほど真っ先に使用したくなりますが、先に使った目薬は、後から使った目薬に押し出されてしまいます。
緑内障の薬など重要な薬は一番最後に使った方が良いでしょう。
また、重要な薬というのは、患者さんのその時の状態によって変わってきます。
例えば、下記の処方がでたとします。
・ジクアス点眼
・クラビット点眼1.5%
ジクアス点眼は定期で使用していて、目やにがひどいためクラビット点眼が追加になったとしましょう。
この患者さんにとって目やには一刻も早く治したいでしょうから、この患者さんにとって一番重要な薬はクラビット点眼になると思われます。
つまり、
ジクアス点眼➡︎クラビット点眼の順番で使用するのが効果的でしょう。
例外ルール❶ カリーユニはどの目薬よりも先に使用する
カリーユニ点眼は懸濁性点眼なので、通常であれば後ろにまわすはずです。
しかし!
カリーユニ点眼は、どの薬よりも先に点眼した方が良いと言われています!
一体なぜ?
カリーユニ点眼は涙液のphで溶けるよう設計されています。そのため、他の点眼薬を先に使用すると、涙液のphが変わってしまい、効果が減弱してしまう可能性があるとのことです。
エビデンスはあるの?
メーカー(参天製薬)に確認したところ、カリーユニ点眼を一番先に使用すると言うのは特に推奨していないとのことです。メーカー曰く、5分以上経つと涙液のphは通常の状態に戻ると考えているとのこと。
有名な薬剤師お助けサイト、管理薬剤師.comにも「カリーユニ点眼は先に使用した方が良い」と記載してありますが、実は明確なエビデンスはないのです。。
まぁ理論上は納得できますよね。
カリーユニ点眼が一番先だと推奨している医師は実際います!
カリーユニ点眼を先にさして10分以上間隔を空けて他の目薬を使うのがベストなのかな。
例外ルール❷ 角膜保護薬は一番後ろにまわす
眼科医によってはこのようなルールで点眼するよう指示されることがあります。
一体なぜ?
角膜保護薬というのは、ヒアレイン点眼やティアバランス点眼など、ヒアルロン酸の目薬のことです。角膜保護薬を一番最後に使用することにより、保護の効果が持続すると考えているようです。
エビデンスはあるの?
こちらもメーカーに確認したところ、明確なエビデンスはないとのことです。
ただ、このルールを推奨している医師は結構います。
医師の経験上、角膜保護薬は一番最後と指示した方が、診察した際に効果を感じたということでしょう。
点眼薬の間隔はどれぐらい空ける?
ここまで順番のルールについて色々とお話ししましたが、目薬同士の間隔をしっかり空けておくことも重要です。せっかく使う順番が正しくても、間隔を空けずに使用すれば効果が減弱してしまいます( i _ i )
各点眼薬の使用間隔
水溶性点眼の使用後;5分以上空ける
懸濁性点眼の使用後;10分以上空ける
ゲル化点眼の使用後;10分以上空ける
眼軟膏の使用後;眼軟膏は一番最後!
最後に
最後に1つ重要なことをお話しします。
点眼薬の順番については、処方医の考えを重視することも大事!
医者と薬剤師で違う順番を言っていたら、患者さんも混乱してしまいます。
医者から順番を指示されていないか、患者さんにしっかり確認しましょう!
もちろん処方医の考えを知るためには、上記のような順番ルールをしっかり把握しておく必要がありますよ(=^▽^)σ
ではまた。