今年もこの時期がやってきました。
妥結率の報告
妥結率の報告書を記載していると、毎年のようにスタッフが
「妥結率て何ですか?」
と聞いてきます。
あれ?去年も説明しなかった?
いい加減に覚えてくれ。
もし妥結率の報告書を出し忘れると大変な事になるのよ!
とはいえ、意外と難しい妥結率の意味。
普通に生活していて「妥結」なんて言葉は絶対に聞きません!
今回は、「妥結率とは一体何なのか?」。
さらに、万が一「妥結率の報告を忘れてしまうとどうなるのか?」などについて
わかりやすく解説していきます。
妥結率て何?
妥結率を説明する前に、そもそも「妥結」とは、どういう意味なのか?
「妥結」とは、ずばり
薬の取引価格を決定すること!
さらにわかりやすく説明すると、
薬にはそれぞれ薬価が決められていますが、薬価と同じ値段で薬を購入している薬局は存在しないと思います。
どの薬局でも医薬品卸さんと交渉し、薬価から値引きしてもらって薬の取引価格を決定しているはずです。
この取引価格を決定することを「妥結」と言います。
では「妥結率」とは何なのか?
ずばり、
薬の取引価格の決定比率
のこと。
妥結率をさらに詳しく解説するために、まずはこちらの計算式をご覧下さい。
こちらは、妥結率を算出するための計算式です!(※割り算です)
つまり「妥結率」とは、
薬の取引価格がどれだけしっかり決められているかを測る値
と言うこと。
「な〜んだ。なんか思っていたよりどうでもいい数字だね」
なんて思われる方多いでしょう。
私も初めて聞いた時はそう思ってました。
ではなぜ妥結率を毎年国に報告する必要があるのでしょうか?
なぜ妥結率を毎年国に報告する必要があるの?
この妥結率の報告は、平成26年から開始されました。
当時、調剤薬局の妥結率は、50%〜60%ほどとかなり低い数字でした。
この状況に国は頭を悩ませていたわけです。
妥結率が低いと国は何で困るのか?
「妥結率が低い」ことは、
令和3年(2021年)から開始される予定の薬価改定に影響がでてしまうのです。
詳しく説明すると、
国は、将来的(2021年を予定)に薬価をもっと適正な価格に見直そうと考えています。適正な価格の指標として扱われるのが、値引き後の薬の値段なのです。
つまり薬局と卸の間でしっかり取引価格(値引き後の値段)を決定してもらわないと、薬の適正な価格がわからないよ!
薬価改定に支障がでるよ!
ということ。
つまり、将来的に薬価は今よりずっと下げられ、薬価差益はほとんどなくなるという意味でもあります。
話を戻しましょう!
平成26年から毎年国に報告することになっている妥結率ですが、50%以上にする必要があると決められています。50%以上であれば、正直何%でも変わりありません。
実際のところ、ほとんどの薬局では
「妥結率が50%以下になることはない!」と思ってもらって大丈夫です。
それぐらい現在は、薬局と卸の間で取引価格はしっかりと決められています!
なぜなら万が一、妥結率が50%以下になってしまうと大変な事が起きてしまうからです。
妥結率が50%以下になったらどうなるの?
妥結率が50%以下になった場合、
基本料が減算されてしまいます!(1年間)
区分 | 通常の点数 | 減算された場合の点数 |
---|---|---|
調剤基本料1 | 41点 | 31点 |
調剤基本料2 | 25点 | 19点 |
調剤基本料3 | 20点 | 15点 |
調剤基本料1を算定している場合、なんと10点も減算されてしまいます。
10点というと、かなり大きいです。
月に1000枚処方箋受付の薬局でも、月にマイナス10万円。
月4000枚の薬局なら、月にマイナス40万円。薬剤師1人雇えます。
妥結率に係る報告書を提出し忘れたらどうなるの?
妥結率が50%以下になった時と全く同じです。
基本料が減算されてしまいます!(1年間)
最後に
提出は、
毎年10月1日〜11月末日まで。
注)土日は、厚生局がお休みなので平日の最終日が末日となります!
提出忘れは注意しましょう。
妥結率の報告書の書き方についてはこちらの記事にまとめました!
ではまた。