後発品調剤体制加算をとるために、管理薬剤師、薬局長の皆様は日々努力重ねてますよね。
あと1%で目標に届かない月なんてもう最悪ですよ。。
そこで今回は、
後発品使用率の数値を上げるコツを紹介していきたいと思います!
ちなみに私の薬局は、後発品調剤体制加算3を算定しています!
最近は86%ぐらいを維持していますね。
これは売上面を考慮して敢えて86%で維持してあるのです。
その気になれば90%を超えることも可能だと思います。
ずばり言いますと、
ポイントさえおさえておけば、後発品使用率は簡単に上げることができます!
今回は、数値を上げるコツを大きく6つに分けてまとめてみました!
それでは早速いきましょう。
- ❶ どの薬を後発品に変更すれば上がりやすいか把握する
- ❷ 準先発品を把握しておく
- ❸ 先発品と薬価が同じまたは高い後発品を把握しておく
- ❹ 薬局スタッフの後発品に対する知識を向上させる
- ❺ 患者さんに後発品を薦めるための言葉を考える
- ❻ 近隣の医師との関係を良好にする
- 最後に
❶ どの薬を後発品に変更すれば上がりやすいか把握する
後発品使用率を上げていくためには、むやみやたらと後発品へ変更していくのでは駄目です。
一体どういうことでしょうか?
次の例を見て下さい。
<例1>
・アムロジピン5mg 30T
・ヒアレイン点眼0.1% 1本
この両者を比較した場合、アムロジピンを変更調剤した方がヒアレイン点眼を変更していくより30倍効率が良いわけです。
まぁこの例は当たり前ですよね!
では次の例はどうでしょうか?
<例2>
・フルメトロン点眼0.1% 1本
・ヒアレイン点眼0.1% 1本
この両者を比較した場合、一見変更効率は全く同じに見えますが、
違います!
薬には「単位」というものがそれぞれ存在します。
「単位」は薬によって異なるのです!
わかりやすく説明すると、
<例2>
・フルメトロン点眼0.1% 1本 ➡︎ 単位はmLのため、5mLで計算
・ヒアレイン点眼0.1% 1本 ➡︎ 単位は瓶のため、1瓶で計算
つまり!
ヒアレイン点眼より、フルメトロン点眼を変更調剤していく方が5倍も効率が良いということです。
ちなみに塗り薬系は単位が「g」であるため、変更効率は高い薬が多いですよ!
変更効率が低い薬ばかりを変えていては、いつまでたっても後発品使用率は上昇していきません。
ここで1つ重要な事をお話ししておきます!
後発品への変更は諸刃の剣。
後発品に変更していけば、売上が下がることはもちろん、薬価差益も先発品よりも低いため、粗利も下がってしまいます。
つまり!
後発品を変更していく以上、後発品調剤体制加算を算定しなければ薬局運営が成り立たなくなってしまうのです。
よって、変更効率は大事ですよ!
❷ 準先発品を把握しておく
なぜ準先発品を把握しておく必要があるのかというと、
「準先発品」は後発品使用率を計算するための方程式から除外されます。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
❸ 先発品と薬価が同じまたは高い後発品を把握しておく
こちらも意外と落とし穴。
正直謎ではありますが、先発品と後発品で薬価が同じ薬がいくつか存在します。
薬によっては同じどころか先発品より薬価が高い後発品も存在するのです!
このような薬は、いくら後発品に変更しようが計算式から除外されるため、変更する意味は全くありません!
在庫過多を避けるためにも、薬価が高い後発品を在庫しているようであればすぐに除外しましょう。
❹ 薬局スタッフの後発品に対する知識を向上させる
後発品使用率を上げるためのハードルの1つとして、よくあるのがスタッフの障害です。
一体どういうこと??
あなたの薬局では、誰が患者さんに後発品を薦めていますか?
多くの薬局では、あなたの部下である薬剤師、または医療事務さんが患者さんに説明し後発品を薦めていることでしょう。
この時!
従業員は、後発品(ジェネリック)に対してどのようなイメージを抱いているでしょうか?
これが意外と重要です!
というのも、もし従業員が後発品に対してネガティブなイメージを持っているとしたら、従業員は患者さんに後発品を「誠心誠意」薦めることはできるでしょうか?
答えはNoです!
私が一般薬剤師として働いていたころの話しです。
そのころ働いていた薬局では、後発品対して、とてもネガティブなイメージを抱いている医療事務スタッフがいました。
そのスタッフは、以下のように後発品を患者さんに紹介していました。
「先発品、後発品を選択するのは自由ですからお好きな方を選んで下さ〜い」
さらに、患者さんが後発品を選択すると
「あっ!後発品でいいのですね〜。わかりました〜」
このような言い方で、患者さんは本当に安心して後発医薬品を服用できるでしょうか?
患者さんの中には、不安になり、やっぱり先発品でお願いします!
なんて言ってくる方もいることでしょう。
(実際、当時の薬局ではそのように言ってくる患者さんが多くいました)
ということで、重要になってくるのが
スタッフの教育です!
具体的に何をするかというと、
製薬会社に連絡し、後発医薬品の勉強会を開催してもらいましょう!
・そもそも後発医薬品て何?
・本当に安全に使えるの?
・海外で作ってる薬もあると聞くけど大丈夫?
・何のために後発医薬品を薦めるの?
スタッフに聞くとびっくりしますが、意外と基本的なことがわかっていません。
また、わかってはいても、今一度、一からきちんと説明してもらえると意外としっくりくることも多いです。
後発医薬品の正しい知識を理解し、ネガティブなイメージを払拭すると、後発品を心から薦めることができるはずです!
❺ 患者さんに後発品を薦めるための言葉を考える
スタッフ教育が終わったら、次に考えるのは患者さんにどのように説明し、後発医薬品を薦めていくかです。
スタッフそれぞれに任せてもいいですが、皆同じ方法で説明し、薦めていった方が効率が良いでしょう。
なぜなら!
患者さんにどのように後発品を薦めるかで、変更率は大きく変わってきます。
言い方が悪いですが、「どのように言って後発品に促すか」。
言い方良くいうと、「どのように言えば後発品を安心して使ってもらえるのか」。
いきなりですが、
ここでとっておきの薦め方をお教えします!
後発品の薦め方 ※一般名処方の場合
「今回の薬ですが、どちらかというとジェネリックでのお渡しとなっているのですが、ジェネリック医薬品でご用意してよろしいでしょうか?」
※テレビCMなどの影響で「後発医薬品」と言うより、「ジェネリック医薬品」と言う方が患者さんにはわかりやすいはずです。
自信に満ちた表情、さらに笑顔でこの声掛けをすれば、
8割〜9割は変更OKとなるはずです。
そんなの卑怯だ!
そんなの嘘だ!
そんなの詐欺だ!
色々な声が聞こえてきます。。
声を大にして言います。
そんな事はありません!
説明していきましょう。
まずはこちらをご覧下さい。
処方せんに記載された医薬品(以下「処方薬」という。)については、処方せんに銘柄名の記載がなされた場合(以下「銘柄名処方」という。)には、一定の要件の下において、保険薬局において処方医に事前に確認することなく含量違い又は類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤すること(以下「変更調剤」という。)を認めることとされ、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日 保医発0305第12号)によりその取扱い(以下「従来からの取扱い」という。)を周知してきたところである。 一方で、一般的名称に剤形及び含量を付加した形で処方せんに記載がなされた場合(以 下「一般名処方」という。)には、従来より、保険薬局において処方医に事前に確認す ることなく一般的名称が同一である成分を含有する医薬品を用いて調剤を行ってきたところである。
今般、後発医薬品の使用促進の一環として、処方せんの様式が変更されること及び一 般名処方を推進することとされたことを踏まえ、変更調剤の具体的な方法を下記のとおりとするので、その取扱いに遺漏のないよう保険医療機関、保険薬局、審査支払機関等 に対し、周知徹底を図られたい。
こちらは、一般名処方の詳しいルールが決まった時に厚労省から発行された文面です。
こちらを見てもらえるとわかると思いますが、
一般名処方とは、後発医薬品を推進するために国が始めた政策なのです。
また、一般名処方で薬を出せば、病院側は「一般名処方加算」を算定できます。
1人の患者さんにつき、40円〜60円ほど。
つまり国の考えとしては、
医師にもお金を払うので、薬剤師と協力して後発品を推進して欲しい!
ということです。
医師が先発品をだしたいのであれば、先発品の名前を記載して変更不可のチェックをいれておけばいいのです。
それを医師がしないで、一般名処方で薬をだすということは、
「私はどちらでもいいよ!国の方針に従うのでお金を下さい!」と医師は言っているのと同じです。
ここまで読んでまだ納得がいっていない方は、もう一度よく考えて下さい!
一般名処方なのに、先発品で調剤するということは
・一般名処方加算により、国は医師にお金を払う
・先発品なので、もちろん患者負担も増える
医療費上がりまくりですよ!!
つまり!(もう一度書きます。笑)
「今回の薬ですが、どちらかというとジェネリックでのお渡しとなっているのですが、ジェネリック医薬品でご用意してよろしいでしょうか?」
でOKなのです。
しかし。。
1つだけ注意点をお伝えしておきます。
この方法で一番怖いのは医師の怒りをかってしまう事。
そうなってしまったら、いくら後発品使用率が上昇しようととんでもない事になってしまいます。
処方箋を意図的にまわさないようにされでもしたら終了です。
対処法としては、
できれば近隣の医師には事前に話しを通しておくのがよいでしょう!
また、医師に話す際は一般名処方加算の事を改めて伝えておくのがお薦めです。
医師は意外と一般名処方加算の事を把握していない事が多いです。
❻ 近隣の医師との関係を良好にする
前項でも少しふれたように、医師との関係が良好であれば後発品をさらに薦めやすくなるのは間違えないでしょう。
もし医師が「ジェネリック医薬品で問題ないよ!使ってみなよ!」
なんて言う一言を患者さんに言ってくれたとしたらどうなるでしょうか?
ほとんどの患者さんが、
「医者が言うならジェネリック医薬品を使ってみようか」
と思うのではないでしょうか?
どうやって医師との関係を良好にしていくのか?
医師に挨拶は行ってますでしょうか?
少なくとも1週間に1回は、医師に訪問するようにする!
特に用事がなくともです。
「何かご要望はないですか?」
用事がなくとも、この言葉を言い続けるだけで医師との関係性は間違えなく深まるでしょう!(もちろん、「忙しいから用事がないなら来ないで!」と言われたら別です。)
自分が今まで担当してきた薬局では、
出会った当初は後発品をあまり推奨していない医師と何人も出会ってきました。
しかし!
医師との関係性を深めていくうちに、
後発品に変更することは、国にとってメリットがあるのはもちろん、薬局にとっても必要なこと!
と医師にも理解してもらい、
最終的には後発品を薦めることを快く了承して下さりました。
出会ってきた医師全員です!
(運が良かったと言われればそれまでですが。。)
最後に
いかがでしたか?
以上のポイントをおさえていけば、後発品使用率は必ず上がっていき、後発品調剤体制加算3を取得できる日も近いでしょう。
最後に1つだけ言いたいことがあります。
諦めないで!
後発品使用率を上げるためには、薬局により様々な障害があるでしょう。
しかし、何かしらの解決策があるはずです。
後発品使用率を100%にしろ!と言われているわけではないのです。
1つずつ問題を解決していけば、後発品使用率は絶対に上昇してくるはずです!
ではまた。